先月、世界自然遺産登録される見通しとなった奄美大島・徳之島・沖縄本島北部・西表島ですが、2017年12月に忘年会旅行で、その中の徳之島へ行きました。
小原の滝は、空港で入手した島の観光マップに載っていました。旅行前に買ったガイドブックには掲載されておらず、宿の方に伺うと島の南西部にある断崖絶壁から海に落ちる滝で、断崖全体が鍾乳石で絶景だけど、途中、崖をロープで降りねばならない難所とのこと。しかし気になったので近所まで行くだけは行ってみようとレンタカーのナビに「小原の滝」と入力して出掛けました。
島の周回道路から脇道に入るとあたり一面に収穫間近のサトウキビ畑が広がっており、その真ん中を車で走るので全員のテンションが一気に上がります。ナビの指示どおりに右左折を繰り返すと次第に道が細くなり、小さな集落の中に入る頃にはギリギリ車が通れる狭い道になり、端まで行ったら行き止まりでした。正確には未舗装の細い歩道?は続いていましたが、どうあっても車は通れません。
実はレンタカーのナビが、かなり旧式で、小原の滝以外でも地名や店名を入力しても該当なしと表示されたり、バイパス道があるのに狭くて曲がりくねった旧道を案内したりと、いろいろなトラブルに遭遇するのですが、この時点では、まだ気付いていません。
仕方なく戻ると集落の入り口付近でベトナムの指導者ホー・チ・ミンみたいなお爺さん(写真参照)がおり、こっちを見ていたので声を掛けました。
「すいません、ちょっと道を教えて欲しいんですけど、小原の滝は、どう行けばいいですか?」
「アンタたちは観光客かい?なんで、こんな季節に?」
本来、徳之島の観光シーズンはゴールデンウイークから10月頃までで、冬はオフシーズンのため、お爺さんが不思議がるのも当然です。
「この季節なら島中どこ行っても空いているし、忘年会旅行でのんびりしたかったんですよ」と説明すると笑って、
「この季節なら島中どこ行っても空いているし、忘年会旅行でのんびりしたかったんですよ」と説明すると笑って、
「それはいいや。夏は忙しくて、みんながギスギスしてて嫌なもんだよ。●%▲@#$だ。小原の滝ってウトゥムジの滝だな。車で行くなら、この道を戻って…」
うん?なんか途中、聞き取れない言葉があったぞ?地元では小原の滝をウトゥムジの滝と呼ぶのか。
「ずっと行くと信号があるから、そこを右に曲がって真っ直ぐ行くと小原海岸の看板があって▲x#〇●=%で、□>▲#~vg●<○p●、▲#:〇M●~◆\+、そしたら、そこでまた聞けばいい」
最初と最後以外が島言葉で名詞か動詞かの区別もつかず、もう一度、聞き返しましたが結果は同じでした。御礼を言って、とりあえず戻り、信号を右に曲がったら確かに看板はあったものの、結局はたどり着けず。そこでまた聞けばいいとは言われましたが、そもそも誰も歩いてないんでお手上げでした。
島言葉、全然わからんぞと思っていましたが、2020年1月、緋寒桜を見に再び徳之島を訪れたとき、某飲食店でカウンター席に座ると女性店主が話し掛けてきました。
「お客さん、見ない顔だね。こんな季節に観光?それともお仕事かな?」てな感じで会話が始まりまして。
話が興じてくると次第に島言葉が入り始めたのですが、不思議と理解できます。以前のホー・チ・ミン爺さんとはえらい違いだなと思って、女将さんの言葉はわかり易いけど、年齢層によって島言葉は標準語化しているんですか?と小原の滝のエピソードを話したら、急に笑い始め
「種明かしをすると、私のしゃべりは標準語に雰囲気で通じそうな単語だけ入れる観光客向け島言葉よ。ほら、なんか知らない単語を聞くと旅してる感が出て、あー俺、今、離島に来てるってなるでしょう?」
「バリバリの島言葉を話したら、(観光客は)誰も付いてこれんから商売にならんもん。▲x#$〇●=%、@#:M●~◆ね。あはははは」
ある意味、この人はプロなんだなと感心しました。あなどれんぞ徳之島!