事の始まりは約二週間前で私が模型店を経営していた頃、簡易インジェクションキットのAmodelを仕入れていたウクライナの業者から、8年ぶりにメールがありました。

「…ロシアとの紛争後、ウクライナ経済が悪化して、私も経営的に苦しい」

「また、ウクライナ製のプラモを買ってくれないか?」

 過去に取引をした欧州やアメリカの模型店や業者に営業してみたものの、昔と違って相手にしてもらえず、もう模型店を辞めたのは知っているけど、何でもいいから買ってくれないかと切々と訴える文面でした。
                    
 彼と取引を始めた15年くらい前、すでに日本国内に東欧や旧ソ連製の模型を扱う輸入代理店はありましたが、まだ私のような個人商店がチェコポーランド、ロシア、ウクライナなどから、発足間もないメーカー製品や得体の知れないレジンキット書籍を輸入しても十分に商売になった時代で、模型店を辞めた2008年の時点でも「このやり方で、取引業者さえ間違わなければ、まだやれるな」と感じていました。

 その後、ロシア、ウクライナ、東欧の模型流通事情は変わり、ズヴェズダやミニアート、ICM、マスターボックスなどは各国に正規代理店ができ、最近では品質も向上したこともあって定期的に輸入されています。

 以前のように一部のマニアだけが手にして、ほくそ笑む製品ではなくなり、通常の流通ルートに乗って量販店の店頭に置かれ、大手通販会社でもポチれるし、模型雑誌にも作例が普通に掲載されるようになりました。

 安定供給されて、商品の珍しさがなくなり、価格も適正化すると並行輸入なんの旨味もありません。世界中の景気が厳しい昨今、いくら営業されたとしても注文を出す業者は、ほとんどないだろうと容易に想像できます。

 とはいえ、私にとっては昔、真摯に対応してくれて助かったのは事実なので恩返しのつもりで、AMGのUAZ-452ワンボックスカーとUAZ-452Dトラックを注文することにしました。



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 これとて、日本の代理店が販売済みの商品だけに、そのまま輸入するだけでは絶対に売れません。

 
そこで、実車では愛嬌のあるキャブのフロントパネルの印象が、なんとなく違うのでレジンパーツを新規で製作して同梱し、なるべくお求め易い価格で販売することにしました。

 こちらが、その原型です。 

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 似てるけど、ロボニャンではありません。UAZ-452Dのキャブに取り付けた様子がこちらです。


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 UAZ-452は、1965年から50年以上も生産されているロングセラーで、民間車としてはもちろん軍用、警察、交通警察、救護車などにも使われ、東独、ハンガリーポーランドチェコスロヴァキアなどの東欧諸国やフィンランドバルト三国にも輸出されました。日本でも、2005年からFI化されたエンジンを搭載するワンボックスバンのUAZ-3909が販売されています

 レジンパーツ付きのAMGのUAZ-452はGUMKAの直販サイトとワンフェスなどのイベントのみの販売で5月の入荷予定です。 


 注文を出して送料を含めた最終見積書をお願いしたら、これは成約すると安心したのか、

「昔、こういう飛行機、よく買ってくれたよね。荷物にスペースあるから、入れておこうか?」

「ローデンから1/35で米軍のM37が発売されたよ。もう日本で売っている?まだなら、とりあえず10個くらい仕入れてみない?」 等々、

昔の元気な彼に戻ってくれたようで、それだけでも良かったなと…