ご存知のとおり昨年四月半ばより、発語障害と嚥下障害を発症し、当初の診断では脳梗塞までは至らない脳血管障害による後遺症との見立てで、私もそのまま公表していましたが、大学付属病院でのMRI検査やCT検査でも血栓が見つからず原因不明でした。

 脳腫瘍や脳神経障害、ギランバレー症候群、パーキンソン病など疑わしい病名が上がる都度、検査が繰り返されましたが、いずれも空振り。回復のため言語聴覚士のリハビリも受けていましたが、なぜか成果が表れず、症状は悪化する一方でした。

 次女の勧めで、今年の一月に県内の脳神経内科専門病院に行ったところ、指定難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)、その中でも珍しい球麻痺型の可能性が高いと診断され、同月、専門認定医よる認定診断を受け「間違いない」とのことで、五月に県から指定難病受給者証が交付されました。

 スターリングラードで捕虜となったドイツのパウルス元帥や中国指導者の毛沢東、日本最大の医療法人「徳洲会」の創設者である徳田虎雄、物理学者のホーキンズ博士、最近では美容家の佐伯チズなどが罹患しているので御存知の方も多いかもしれませんが、ALSは原因不明の病気で現時点では治療法がありません。進行性で身体のほとんどの筋肉がだんだんと麻痺して動かなくなるのに感覚や意識はそのままなので「最も残酷な難病」と呼ばれています。身体が日を追うごとに衰えていき、先週まで普通だった右腕が、ある朝起きたら、バンザイができなくなってて、三週間後には動かなくなっていたときは、本当に絶望しました。患者の10%は鬱病になるらしいのですが、これは精神をやられるなと思いました。

 現在、日本には約10000人のALS患者がいるとされていますが、通常のALSは手足が麻痺して寝たきり状態となり、2~5年で言葉を失い、経口摂食もできず、最後は呼吸筋が動かなくなって亡くなります。
 私の球麻痺型ALSは、いきなり発語障害と嚥下障害から始まり、進行が極めて早く、短期間で呼吸困難となるのが特徴です。
 私も気管切開をして人工呼吸器を装着しなければ、余命は最短で年内一杯だそうで、人工呼吸器を装着した場合の余命は、1年以下が10%、10年以上生存が10%、1年以上10年未満が80%とのこと。

 二月までは言葉が上手く話せないのと食事に時間が掛かる程度で、たまに手足に痙攣があるものの、普通に生活できていましたが、現在は舌が委縮して言葉を失ったので家族とは筆談で意思疎通を行ってます。食べ物の経口摂取も困難なので胃瘻手術を受けて胃壁に穴を開け、そこから水分や栄養剤を点滴しています。
 健康ならば96%以上ある酸素飽和度の数値が90%未満まで落ちることがあるので酸素吸引なしで15分以上、歩くことはできず、外出も無理になりました。既に右腕は自分の意思で動かせず(指だけは、まだ動きます)この文章も左手だけでタイプしており、慣れないので難儀してます。

 気心が知れた仲間と馬鹿な話をすること。美味しい物を食べること。模型を作ること。バイクに乗ること。これらを楽しみにして生きていましたが、全てできなくなり、精神的にはかなり落ち込みました。
 日本のALS患者の70~80%は人工呼吸器を装着しないそうで、私も一時期は全身が動かない寝たきり状態で家族に介護されて苦労と面倒をかけて死を待つだけならば、生きている意味がないと考えていましたが、家内から、どんな状態でも生きていて欲しいと言われ、今は人工呼吸器を装着し、一日でも長く生きることを考えています。

 病名の公表に関しては、仕事関係と親しい友人には早めに伝えていましたが、しばらく明かさないようお願いしてました。今回、指定難病受給者証が交付され、正式に患者認定されたので、公表することにしました。

 このような病状なので、今後はブログ記事やホームページの更新も難しいかと思います。また、頂きましたコメントに返信するのも容易ではないので、どうか失礼を御容赦ください。