それは2018年10月の出来事。いつものようにKH250のキックペダルを踏みましたが、いつもは一発~三発で始動するのに、この日は、いくらキックしても全くエンジンが掛からず。
仕方なくGSX250Eで出掛けて、後日、調べてみるとプラグから火花が飛んでいません。「これは早めに冬眠させて直そう」と思い、それからGSX250Eを日常の足に使っていたら、セル付きでほぼメンテフリーだし、不安なく遠出もできるし、同じバイクに三台も乗っているから長所も弱点も知ってて乗り易いしで、ついつい放置してしまい、気付いたら3年。さすがに不味いだろうということでKH250の再起動編です。
急にプラグが三本とも火花が飛ばなくなったので、真っ先に疑ったのがイギリス製のボイヤーフルトランジスター点火システムの故障でした。カワサキの純正仕様ではKH250はポイント点火ですが、私のはイギリスからの里帰り物だけあって、前オーナーがボイヤー点火システムに交換していました。
当時は、入手してからキャブレターのOHをするだけでエンジン始動したので「ボイヤー、言われているほど悪くないな」とお気楽にそのままにしてきましたが、最近の製品と見比べるとステータープレートにKH250のマーキングがなかったり、トランジスターボックスのシールが異なっていたりと、どうもかなり以前の製品のようです。

念のため、イグニッションコイルも抵抗値をテスターで計測したところ、左シリンダー用のコイルが死んでいました。ここでふと疑問がわいたのですが、KHの場合、三個のイグニッションコイルのうち、一個でも死んだら点火しなくなるのか?です。だとすると原因はボイヤーではありません。
ただ私、電気系はさっぱりわからないので、カワサキ・トリプルの師匠、ジローさんに「点火システムをボイヤーに交換したKH250はイグニッションコイルが一個だけ死ぬと、三発全ての火が飛ばなくなりますか?」とSOSしたところ、「たしか三気筒同時爆発だったけど、(配線図を見ると)コイルが一個ダメになっても三発とも火が飛ばないことはない」とのことで、死んでいるイグニッションコイルを配線から外して二発で火花が飛ぶかチェックしてみて、飛んだら原因はボイヤーじゃないし、飛ばなければボイヤーの可能性が高いとアドバイスをいただきました。さっそくやってみたら、やはり二発にしても火花は飛ばず。ああ、これはボイヤーの死亡かなと。
死んだイグニッションコイルとボイヤーとの因果関係ですが、不動になる直前、左シリンダー用キャブレターへの給油ホースに取り付けてある燃料フィルターに妙にガソリンが溜まっていたので、思えば、あのときからすでにコイルが死んでいて、二気筒で走っていたのかもしれません。