2003年の4月に取材でドイツに行ったときの出来事です。取材先の戦車博物館があるムンスターは小さな田舎町。それなりに観光にも力は入れている様子でしたが、近隣都市のハンブルクで見たような大勢の日本人観光客も、この街では一人もおらず。
駅に置いてあった市のパンフレットによれば、観光資源が戦車博物館と古い水車小屋、街のそこかしこに置かれた彫刻でしたから、普通の日本人観光客は、まず来ませんね。おまけにパンフレットの水車小屋の写真は上手に撮影して、歴史的貴重感を演出していましたが実物は普通でした。
滞在3日目の話です。目的の取材は、ほぼ終わっていたのですが、この日も同行者の五十嵐さんと岡田さんは個人的な興味と将来の仕事になるかもしれないアイテムの下調べで、朝から戦車博物館に行きました。私は家族や友人への土産を買いたかったし、本屋にも行きたかったので別行動で街の中心部へと向かい、午後からは観光を兼ねて街外れまで散歩をしました。
小さい街なので、中心部から20~30分も歩けば草原です。農家や森、川などの風景を撮っていると、自転車に乗った5~6人のいたずら盛りの子供たち(10才くらい?)が街からの一本道を走って来ます。私の傍まで来ると、リーダーらしき男の子が声を掛けてきました。
「Japaner?(日本人か?)」
そうだと返事すると男の子の眼がキラキラ輝き、息をすぅーと吸い込むと、
「●☆、●☆、●☆、●☆♪~」
といきなり、大声で叫びます。
その他の男の子と女の子は、私の反応を見逃すまいと、じっと観察していますが、聞き取れなかったので、思わず日本語で「え?なんだって?」と聞き返すと、もう一度、叫びます。
「バス!バス!バス!バスぅ~(最後がウームラウト気味になる)」
今度は聞き取れました。でも意味がわかりません。でも、どこかで聞いたことのあるリズムです。
「バス! バッス バス! バスぅ~」、「バス バース バス! バスぅ~」
男の子が抑揚を少しづつ変えて、何度も叫ぶうちに、突然、閃きました。
「バス、ガス爆発?」
あははは、あははは、と全員が大笑いし、叫んだ男の子は、かなり得意&満足げな顔で、そのまま街の方に自転車で猛スピードで戻って行きました。どうやら正解だったみたいです。
多分、日本人旅行者か滞在者から教わり、叫ぶうちに言いやすいように変形していったのかな?それにしても、これを教えた人は数ある日本語の中で、なぜ、この言葉にしたんですかね?