GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2019年11月

 23日は世田谷区下北沢で開催された「東京AFVの会」へ。午前中、家族の用事があり、それが終わってから出掛けたので、会場に到着すると宮本監督の模型特撮についての講演が始まっておりました。


 本来なら3時間程の内容を1時間に詰めての濃縮講演でしたが「え!あんな素材で海面が?」とか綿を使ってリアルに見える爆発など、とても勉強になりました。


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 例年だと12月に開催でしたが、今年は一か月早いせいか、来場者がすごく多くて、大変な熱気でした。作品は単品が多かったですが個性豊かな各国のAFVの完成品がずらりと。

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 会場でも話題になっていましたが、今回、若い参加者の方が多く、しかも、みんな上手。今風の素材を使いこなしつつ、楽しんで作っている様子が感じられました。


 今回、個人的に最大のヒットは久々に副島博文氏のスクラッチ作品、しかも大好きなルノーNC(ルノー乙型)が見られたことでした。  


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 ホビージャパン誌1985年9月号に掲載された副島氏の八九式中戦車のスクラッチビルドは今でも忘れられません。

 

 パンツァーショップのマークBのキットに入っているボールマウント機銃は機銃の出来が今一つ。


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 もともと機銃未装備の状態にするつもりでしたが、その部品も開孔部の穴の形が違っているうえに実車のようにボールマウント部が車外に突出しません。


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「マークBの武装はホイペット中戦車と同じだからモンモデルかタコムのキットから流用すれば解決!」と思われるでしょうが、このマークBのキット、固定式銃塔の高さと前後長が足りず、一回り小さくなっているのをボールマウント機銃のサイズを小さくしたり、各部品のレイアウトを微調整することで誤魔化しており、キットの流用部品を付けると不自然に大きく見えて破綻します。


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 かくして、原型を一個作って複製しました。銃塔に接着したらレトロなロボットみたいになりました。

 

 パンツァーショップのマークB中戦車は、なぜか車体前面上部にあるリベット止めされた跳弾板が省略されています。


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 実車の特徴でもあるのでプラ板で追加工作しました。


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 これに関連して前面装甲板のリベット位置もおかしかったので削って植え直します。

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 いろいろ問題のあるキットで手が止まると「もういいや」となってお蔵入りしそうなので、極力そのまま組む方針ですが、正面からの印象が、かなり変わってしまうので、ここは手を入れました。


 先週の土曜日、HJ誌のライターである青木周太郎さんが幹事で忘年会がありまして。


 宴もたけなわの頃、呉光雄さんが御自身のコレクションである往年のレジンキットを数名に配布し、「これは絶対に高田君が作ってね」と手渡されたのが懐かしのアキュリット・アーマー1/35 BTR-60PBでございます。


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 寸詰まりだったVPトロフィモデルとは異なり、今でもプロポーションは説得力があります。裏を見ると1987年とモールドされており32年物でございます。


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 来年の忘年会までに完成を約束しました。今こそ工房のどこかで埋もれているオン・ザ・マークのBTR-60用エッチングパーツを発掘し使うチャンスです。


 まずはキット付属のホイールは手作り原型のため形状や正円が今一つなのと、当時のアキュリット・アーマーの特徴で真空脱泡が完璧ではなく気泡があるので、今風のデジタル原型のレジン製ホイール入手からですね。


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 「BTR-60PBならトラぺからプラモが…」とか言う方がおりますが、そんなことは百も千も承知の上で作らねばならんのですよ。

 マークB中戦車の内側の側面装甲板部品は前後二分割になっており、前部部品の歪みと反りが強め。ここは車体本体と接するコアパーツだしディテールも少なめなので、矯正するより作り直した方が良いと考え、プラ板で新造しました。


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 履帯の張度調整装置のカバーは実車とは形状やサイズが異なるものの外側の側面装甲板とモールドを揃えねばならず、ここはパンツァーショップの味と考えて、キットのまま再現しました。


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 起動輪基部はキットのボルトのモールドは単調だったので、メリハリを強めにしました。


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 工作自体は、さほど難しくなかったものの、装甲板の周囲の小さなリベット植えが老眼の還暦には苦行でした。

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