GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

カテゴリ: 1/12 富士重 ラビットS-1

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 今、私が原型を作っているラビットS-1は、群馬県太田市にある富士重工スバルビジターセンターにしか実車がない希少車で、国立科学博物館の産業技術史資料にも認定されています。ぜひ本物を見たいのですが、残念ながら、この施設は事前予約した10~200名の団体でしか見学できません。身の回りでラビットS-1に興味がある人間など、せいぜい片手ですから、到底、10名を集めるのは無理です。

 ところが、今はなきYahooブログで、とある方が、個人ブログでD-12の写真があるよと教えてくれまして。さっそく覗きに行ってみたら、ありました、ありました。珍しいスクーターの数々に混じってD-12が。

「これは、ぜひ、実車取材させてもらおう」

 と連絡したら、なんと管理人のmonchichiさんは、大学の後輩で、以前、私のやっていた模型店の常連さんでした。世の中の狭さを痛感しつつ、取材を御願いしたら即、快諾。かくして、本日、行ってきました。県内某所にある秘密ガレージ。もともと、ベスパのコレクターでしたが、日本のスクーターも保存しようと考え、ラビットと三菱シルバーピジョンの各車を収集保存してレストア中です。

 ラビット・コレクションの中でも貴重なのが、このD-12とS-25でしょう。D-12はS-1のフロントにコイル・スプリング式サスペンションを追加したモデルで、日本全国でも、5台以下しか残っていないそうです。もちろん、実車を初めて見ましたが、思ったより大きなスクーターで、疑問だったフロントとステップ部の接続パイプは、本当に簡単&適当にくっつけられていて、ある意味、びっくり。全体的に華奢で、実際、レストアされたラビットを今の道路で走らせるとフレームが強度不足らしいです。当時は、路面が良くなく、あまりスピードを出せないし、比較できる車輌もなかったので、これでも通用したようです。

 このラビットは二カ所の工場で製造され、工場によってハンドルやサイドカバーの空気孔が異なっており、群馬県太田工場の生産車はS-12、東京の三鷹工場製はD-12という別名称が与えられ、意外にも販売ルートも別々だったそうです。今回、取材した実車は外観の特徴は、太田工場製のS-12なのですが銘板を確認するとD-12の文字が。部品交換された可能性もありますがオーナーも首を傾げていました。

 今は広島県に引っ越した元バイク店のメカニック、Iさんが、かつて「ラビットS-1/S-12は、ガザC」と言っていた意味が納得。デザインといい、コンセプトといい、性能といい、これはガザCです。

 取材成果は原型に反映したいと思います。取材で馬鹿な話を散々しつつ、勢いで、シルバーピジョンのキット化を約束したので、次アイテムにも御期待ください。monchichiさん、本日はありがとうございました。

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私が今、作っている富士重工のラビットS-1は、
終戦間もない1947年から生産された日本初のスクーターです。

富士重工の前身が、中島飛行機とあって、試作車のタイヤは、
工場に残っていた双発爆撃機「銀河」の尾輪を流用した、
というエピソードがあります。

戦後、軍民転換を迫られて、作れる製品を捜していたとき、
偶然、下請け会社がアメリカのパウエル社製のスクーターを
所有していたのが開発のきっかけでした。
細部こそ改良・改修してありますが、全体形に面影が感じられます。

車体後部が形になったので、フロント、ステップ部を作ります。
ステップ部はパイプフレームなので、2mmの真鍮パイプを曲げて形にします。

プラモデルがメインの模型店では、あまり見掛けないのですが、
パイプ曲げ用工具を使いました。
私は「文教堂ホビー ららぽーと横浜店」で入手しました。
値段は忘れましたが、1000円はしなかったです。
値段の割には、結構、使えて、スクラッチをやるモデラーなら重宝します。

曲げたパイプフレームの上にプラ板の床板を貼るのですが、
ここで問題が。フロント部を取り付けるパイプがステップの床下から、
伸びているのですが、どっから出て、どう固定されているかが不明です。

ここで作業が止まりました。S-1は知られている限りでは、
唯一の実車群馬県のスバルビジターセンターにあるのですが、
ここは、事前予約をした10名から200名の団体の見学しか受け付けておらず、
個人で、ふらりというわけには行きません。

以前、バイク雑誌に、これの後継車であるS-12のレストア車が掲載されていましたが、
どこかの博物館ではなく、個人蔵らしいので、これも無理。
せっかく、調子よく形になってきたのに、
とりあえず、資料が見つかるまで、ちょっとお休みですかね。

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お米代を稼ぐ仕事が、返事待ち、資料待ちの時間が多く、
手すさび仕事だけが妙に進みます。初対面の仕事相手だと、
お互いの様子やペースが知れず、間々あることです。
気持ちに余裕を持って進めます。

半日とか1日空きだと、別仕事やったり、750SSを組むのですが、
細切れ1時間、30分だと、なかなか、そうは行きません。

で、反対側のカバーも同じようにスリットを付けて、
1/35ドラム缶を加工した部品と合わせて、一気に接着を。

なかなか良い感じに仕上がっています。
これ、本当に750SSより、先に形になるかも…
皮肉だな…

 本業がちょっと慌ただしく、750ssの原型が触れないのですが、代わりに合間、合間の手すさび仕事は、ちまちま進んでいます。前々回の続きで、反対側の部品も二箇所で長さを詰めて、再接着。
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 成形したら、それをプラ板に接着し、裏打ちをしておきます。ここら辺まで形になってくると、悪い病気が発症し、本業や750ssより、この手すさびアイテムが気になり、改めて資料を見直したり、ネットで実車を捜したり。先に進みたくて仕方がなく、だんだん手すさびでなくなっている?夕食後、作業開始。側面に凸スリットのモールドを付けてサフェーサーを吹きました。

そろそろ、何を作っているか、わかる人も出てくる?

 「直径16mmの半円筒パーツ」が必要となりました。立派な模型製作会社や試作会社、造型スタジオとかだと様々な材質の各サイズのパイプやロッドをストックしていますが、個人営業の工房が、んなモン、常備しているわけがなく、かと言って南流山には東急ハンズも伊東屋もありません。
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 一応、ホームセンターに行きましたが、アクリルパイプ、塩ビパイプはあったので、とりあえず、保険としてキープ。後加工を考えるとスチロール製がベストですが、都内に探索に行くのも面倒だし、たぶん材料代より、往復の電車賃の方が高いので、ストックのプラモの箱開けて、使えるパーツはないか物色。タミヤのT-72の予備燃料タンクか、ジェリカンセットのドラム缶かな?と辺りをつけて、ノギスで計るとドラム缶が、ほぼピッタリ。

 まずは二個を縦に接着。製品の表面には、本物らしさを表現するために、凹んだモールドが沢山あるのでパテで埋めます。ちょっと手間はかかったものの、なんとかなりました。

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タミヤのエポパテで裏打ちをしてから曲面の削り出しをします。ある程度の形になったところで、実車写真と比較すると、どうも前後に長いようです。

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 一応、専門誌に掲載された図面を元に作っていたのですが、間々ある事です。

「実車メーカーから出た公式図面を元にキット化」

 プラモデルの新製品広告などで使われるコピーですが、名の通った模型会社であれば実車メーカーが全面協力してくれて、外観に関わるデータを出してもらえますが、我々、レジンメーカーは、そんなもんとは全く無縁の立場。様々な資料を集めて、ああでもない、こうでもないと悩むわけで。

 結局、実車取材ができる事が一番、良いのですが、それが困難な車種もありますから悩ましいです。なので、図面は、カタログに掲載された小さな四面図であれ、雑誌記事の部品図であれ、貴重な資料です。ただ、過信は危険で、常に実車と比較することが必要です。

 というわけで、二箇所でぶった切って、寸詰めして成形を。なかなか、イヤラシイ形状をしているんですよ。実物は(笑)

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