GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

カテゴリ: 心惹かれる物

模型店時代、常連客だった横浜のSさんから頂戴した東独軍のジャケットです。

イメージ 1


Sさんは、日本では珍しい東独軍のマニアで貴重な資料本や本物の軍装品もコレクションしており、現物持参で、店頭レクチャーしてくれたこともありました。

私が2008年に模型店を引退する直前にプレゼントしてくれました。嬉しかったですね。

以来、ずーっと大事に保管していましたが、実用性を確かめたくて、この前のKH250の冬眠明け走行のとき、試着しました。

布地が薄いので、あまり防寒性はなさそうで春先~初夏の今のシーズンにはぴったりでした。

左胸には、大型のポケットがあり、デジカメとか入れるのに便利です。

イメージ 2

裏から見るとポケットの形が変です。NVAは東独軍のことで、1958は、おそらく製造年だと思います。

イメージ 3

この形状はひょっとして…

イメージ 4

試しに入れたルガーP-08のガスガンが、スッポリと納まりました。
なるほど、ホルスターなんですね。

やはり軍用品だということを実感します。


イメージ 5


それにしても、1958年製とは思えぬ新品同様の状態です。さすがは、Sさんです。

使い易いので、しばらく愛用させてもらいます。

 <5月17日補記>

このジャケットは空挺隊用戦闘服だそうです。
ポケット裏側の1958のスタンプは製造年ではなく、生産工場の番号だそうです。
訂正と共に、お詫びいたします。御指摘下さった堀さん、ありがとうございました。





数日前、ウクライナから小包が届きました。今、話題の国なので、到着まで時間は掛ったものの無事に到着しました。

イメージ 1

中身は、日本でもお馴染みのディアゴスティーニがロシアやウクライナで売っている
ソ連の伝説の自動車シリーズ」のLuAZ-967水陸両用車とZAZ-965A「ザポロジェッツ」です。

1/43のミニカーとパンフレット程度の実車解説の冊子がセットになっています。

イメージ 2

 もう時効ですが2006年、あるロシア人から、LuAZ-967のプラモデルを出したいので設計をやってもらえないか?との打診がありました。お金持ちの友人がスポンサーになってくれて、新しい模型メーカーを興すので、その第一弾にしたいという話でした。

 個人的には、もの凄く興味があったのですが、当時は文字どおり1/35のAFVプラモが桁違いに売れてまくっており、既に、いくつもの仕事を抱えていた状態だったのでスケジュール的に無理だと御断りしました。

 結局、今日に至るまで、LuAZ-967水陸両用車のプラモデルは出ていないし、それを予告した新興模型メーカーも聞かないので、計画自体が頓挫したのだと思いますが、仮に実現したとしても、このアイテムが第一弾ですから、メーカーとして存続できたか甚だ疑問があります。ちなみに第二弾はGAZ-46水陸両用車を出したいと語っていました。

 ただ、それ以来、実車が気になり、レジンキットでも出ないかな?と思っていたらミニカーがあると知り在庫を持っていたウクライナの店に注文した次第です。

イメージ 3

 実車の雰囲気から、バモス・ホンダ程度の大きさかと思っていたら、ずっと大きくて、ちょっと驚きました。最近、トランペッターが、ソ連/ロシアの車両を出しまくっているので、もしかしたら、近い将来、プラモ化されるかもしれません。

 一方のZAZ-965A「ザポロジェッツ」は、良く言えばフィアット600にインスパイアされた。
ストレートに言えば、デザインを拝借してアレンジした車です。

イメージ 4

 ZAZ-965/965Aは、1962年から69年まで32万台以上が生産された名実ともにソ連の大衆車ですが、車としては最低レベルの性能でしかなく東独のトラバントみたいな存在です。

 生産終了から20年以上も経ったソ連崩壊時、モスクワの街を元気に走る姿を見て、絶対に乗りたくないもののデザインは好きです。ズヴェズダ辺りから、1/24のプラモデルが出ると嬉しいのですが…

GUMKA製品のパケージ撮影に活躍してくれるのが旧ソ連製のマクロレンズ「MC ヴォルナ9 f2,8/50mm」です。
 
イメージ 1

いい塩梅でスッキリと写らない御蔭で模型が実車のように見える不思議なレンズで、以前、このブログでも紹介しました。先月末、模型店時代の御客さんで、写真好きの方から連絡がありました。

「あの記事読んでからヴォルナ9を買って、模型の写真を撮ったんだけど、
マッハの完成品(の写真)みたいに実車っぽく写らないんだよ」

てっきり、オークションか中古カメラ店で、よく写らないレンズを掴まされたのかと思い、まあ、ソ連時代のレンズは当り外れがあるんで…と言ったら、

「いや、そうじゃなくて、今のマクロレンズのように、ちゃんと写るんだよね…」

気になったので、私も、もう一本、ヴォルナ9をロシアから購入しました。


イメージ 2

大概のソ連製レンズやカメラは、製造番号の頭二桁が製造年なので以前から使っていた「868795」が1986年製で、今回、入手した「904918」は1990年製ということになります。

イメージ 4

製造年は4年しか違わないのに、レンズ表面のコーティングが異なるようです。

ロシア人によれば、ソ連体制崩壊した1991年前後に製造された時計やカメラ、家電製品などは不良品が多いので避けるか入手後は点検・オーバーホールした方が良いのですが、この1990年製レンズは状態も良く、マウント部の取り付けのマイナスネジも4本ともマイナス溝がセンターに切ってあったので買いました。

私見ですが、大変な物が多いのは体制崩壊後の1992~93年頃の製品で1990年くらいまでは、まだマトモな気がします。もちろん、マトモと言ってもあくまで「ソ連基準で」の話で、日本のモノサシでは問題アリが沢山ですけど…


さっそく試し撮りしたのですが、これが、模型が模型として写る普通のマクロレンズ
「ああ、模型を撮ったね」とすぐわかり、実車に見えるなんてことはありません。

イメージ 3

どうも、本来のヴォルナ9の性能は現在のマクロレンズと似たような写りをするみたいです。

以前から私が持っていた1986年製ヴォルナ9はレンズの鏡胴への組み付け、もしくはレンズガラス自体に
何らかの問題があって、スッキリと写らない不良品だったようです。

ただ、その写らない不良具合が、模型を撮るとまるで実車に見えるという良い方向に作用していたのです。

もしも、私が花だの昆虫だのを撮る人であれば、
「スッキリ写らない、こんなレンズはダメだ!」
になったのでしょうが、たまたま模型が被写体なので、
「おお!まるで実車のようだ!す、素晴らしい~」
という、偶然というか奇跡の巡り合わせだったんですね。


私のブログの過去記事を読んでヴォルナ9を買おうと思っておられた皆様、もう一度、考え直された方が良いと思いますm(_ _ ;)m


愛用している極細の平ヤスリがあり、750ssの原型製作でも大活躍してくれました。もう10年以上も気に入って使っているのですが残念ながら1本しか持っていません。

実は、どこで買ったかを覚えておらず、同じような形のヤスリを工具屋やネット通販などで見つける度に買っていましたが削り心地は違うし、すぐに使えなくなる物ばかり。

先日、都内に買い物に行ったとき、偶然、小さな工具屋を見つけたので、いつものように極細平ヤスリについて尋ねると

「今度、現物を持って来て」

本日、再訪すると、店主がルーペで目切り部を眺めながら、

「なるほどね、職人の手引だね。目の刃を1本、1本、タガネを打って切った(彫った)品物だよ。最近は職人が高齢化しちゃったんで、みんな機械打ちで、しかも中国からの輸入品ばっかりだけどね…」

あ~、やはりダメなのかと思ったら、横の棚に手を伸ばし、

「ほれ、同じ品物。平だけでいいの?他に半丸、丸、角、刀刃、菱もあるよ」

いや~嬉しかったですね。

イメージ 1

極細平を三本、半丸、丸、刀刃、も買いました。
 
値段は内緒。

明日からの作業が楽しみですね。 

ちょっと御縁があって、レベル1/8 カワサキ マッハIIIを入手できました。長年捜し続けていたんですよ~
何度か模型イベントや自動車模型専門店で中古品を見ていますがプレミア付き高値で手が出ず。ネットオークションにも、たまに出ていたのですが、競り負けてばかりいたら、最近は見掛けなくなり、半分諦めていただけに、とっても嬉しいです。


イメージ 1

未組立で、状態も悪くありません。

イメージ 2

いつかは同スケールのナガノのH1Bと一緒に作りたいですが、
今のところは、もったいなくて眺めるだけです(笑)

このプラモデルは、実車が現役だった1970年代に発売されたのですが、
当時の技術を考えれば、とても素晴らしい製品です。




 数年前、香港に住むツツミシタ大塚君から電話がありました。用件は私が大昔、チュチマのフリーガーという第二次大戦中のドイツ空軍用腕時計の復刻品を欲しがっていたのを覚えていて、まだ興味があるか?てな内容でした。

イメージ 1

 昔ほど熱烈に欲しくはないけど興味はあると返事をすると、チュチマではないが、同じく大戦中のドイツ軍のクロノグラフを復刻した「ハンハルト」のタキテレが格安で買えると。始めて聞くメーカーだったので、とりあえず、一旦、電話を置いて検索してみました。

 ハンハルトは戦前は懐中時計とストップウォッチを製造していましたが、戦時中は軍に腕時計を納入しました。タキテレは通常のクロノグラフの文字盤に速度計測ができるタキメーターと距離計算ができるテレメーターを印刷しており、戦中・戦後のドイツ海軍砲兵隊で制式採用されました。ストップウォッチ専業メーカーとして確固たる地位を築いた1962年に腕時計の生産を休止しましたが、1997年にタキテレを復刻し再び時計メーカーとしての活動を再開して今に至ります。


イメージ 4


 文字盤中央の魔法陣がタキメーターで周囲の赤い数字がテレメーターです。値段を調べてみると国内定価は315,000円ですが実売価格は20~25% off程度のようです。大塚君が格安と言うのだから40~50% offくらいでしょうか?安いは安いけど、それでも15万円以上だから、ちょっと無理かななどと考えながら、彼にメールして、物はわかったから格安で入手できる事情と具体的な値段を尋ねてみました。

 事情は、ほぼ漫画で彼の義妹さんが香港島の時計店で働いていたのですが、ある日、出社すると店の金庫とロレックスやマイセンの装飾時計など高級時計のガラスケースが空っぽ。最初は窃盗団の仕業かと思ったのですが、実は店の女性社長が、金庫の現金と換金が容易な高額時計を持って秘書兼愛人だった若いイケ面男性と夜逃げしていました。

 この女性社長、父親から引き継いだ売上不振の老舗時計店の店内を今風に改装し、店員も不愛想で給料の高い中年男性を解雇して若い女性に入れ替え、大型ショッピングモールに支店も出す積極的な経営を展開。支店と本店の二店体制だったときは新規顧客も増えて、売上も一気に3倍になり、上々のスタートでしたが、さらに支店を三店舗も増やしたら見事に裏目に出て、資金繰りは悪化し、取引先への支払いは遅れ、とうとう従業員の給料も未払いになる有り様。最初は我慢をしていた社員たちも女性社長と団体交渉して、不採算支店の即時閉鎖と未払いの賃金を30日以内に全額払うという約束を取り付けましたが、その翌々日、女性社長はドロンというわけで…

 かくして残された社員は、社長が男と夜逃げしたと聞いて駆けつける債権者が、店内の金目のモノを根こそぎ奪って行く前に、未払い給料代わりに店頭の時計を持ってきたという心温まるストーリー。んで、肝心の値段を尋ねると絶対に有り得ない万円。  

 本当にそれでいいの?!というわけで御買い上げです。香港ではハンハルトというブランドの知名度が低いうえ、この手のミリタリー系の時計は不人気で義妹さんも、同業の時計店など、あっちこっちに持ち込んでみたものの値段が折り合わず、大塚君に相談したようです。彼もタキメーターとテレメーターのない「レプリカ」というモデルを購入済みでした。

 数日後、保険付きの国際小包が到着。中身は正真正銘新品のタキテレでした。

イメージ 2

イメージ 3

まあ、物にも歴史ありってやつですか?(←たぶん、違う)


このページのトップヘ