GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

カテゴリ: KH250 再起動


 ボイヤー・フルトラキットのギボシ端子はイギリス規格で、日本のJIS規格とは微妙にサイズが異なり、オス・メス共に少し太いです。なので、私は、KHのハーネスと接合が必要になる片側を写真のようにJIS規格端子に交換しました。

 ただ、これは改造で当然、代理店の保証が受けられなくなるので、良い子は絶対にやってはいけません。やると煉獄に落ちて紅蓮の炎で焼かれます。だから、絶対にやってはダメ。いいですね。絶対だぞ!

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上が改修済、下がボイヤーそのまんま

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左が改修済。右がボイヤーそのまんま

 んで、これが、こうやって接続するわけでして。

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  何度も言うけど、この画像を見て作業の意味がわからない子は絶対にやってはダメだぞ!ダメだからな。

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 イグニッションコイルを交換したので、プラグコードとプラグキャップも新品にしようと二輪館で買ってきたら、最近のNGKのプラグキャップって、もう白文字加工されてないんですね。
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下が今まで使っていたプラグキャップ。最初から白文字加工アリ

 今でも手頃な値段で供給してくださっているメーカー様のことを考えれば、文句を言う筋合いではないので、ここは自分で白い塗料を入れます。

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 うんうん。やっぱりNGKのプラグキャップはベークライトカラーに白文字だよ。


 英国里帰りKH250に付いていた三本の台湾製イグニッションコイルは、二本は同じデザインのWAT YONG製で、パンクした一本がデザインが異なり、ブランドを示すシールもありません。どうやら前オーナーは、過去にイグニッションコイルが故障したとき、三本同時に交換しなかったようです。

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 今回、死んだのは一番左の赤い12Vのシールが貼ってあるコイルです。私はてっきり、これが旧型デザインで残り二本が新しく、前オーナーはコイルが死ぬ都度、一本づつ交換していって、最後の旧式コイルが死んだと思っていました。ところが実際には、今回死んだコイルが新型で、まだ生きている二本が旧型デザインでした。つまり前オーナーが交換した新型コイルが故障したのです。

 どうして、こうなったかは不明ですが、とりあえず私は三本とも交換することにします。


  まずは、一発死んでるイグニッションコイルの交換から始めます。使えないのは左シリンダー用のコイルですが、当然、三個全て交換になります。
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 バイクに付いていたイグニッションコイルはカワサキ純正ではなく、社外品のWAT YONG製でした。WAT YONGのイグニッションコイルは、海外オークションのe-bayや海外バイク雑誌の広告で見る割と有名な製品ですが、もともとは台湾製で、OEM供給されてWAT YONG以外にも各国の様々なブランドで売られています。

 私はEMGOブランドのコイルを入手しましたが販売店様より、あくまでポイント点火用コイルなので、CDI点火、フル・トランジスタ点火では使用できない旨、説明をいただきました。

 具体的に言えば、ポイント点火以外で使用した場合のトラブルの責任は一切持たないということです。私はアホなんで、そこを納得した上でボイヤーのフルトラシステムで使いますが、どんな結果になろうとも自己責任であることは理解しています。仮にすぐ故障しても絶対に販売店様や発売元のEMGOに文句は申しません。
 
 なので、もし貴方が、このブログ記事を真に受けて、EMGOやWAT YONGやらのイグニッションコイルをボイヤーに装着し、何らかトラブルに遭遇しても、私は一切責任は持たんし、文句も聞かんので、その辺だけは、ちゃんと理解してくださいね。
 あくまでメーカーはポイント点火用コイルとして供給してんだからね。本当に最近、変な人が増えたので敢えて言いますが「絶対に、この記事の真似はするなよ。やったからには全て自分の責任だからな」でございます。
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 台湾製イグニッションコイルですが、KH純正の金属製ホルダーより本体直径がやや細く、装着にはスペーサーが必要となります。私のKHは英国帰りなのですが、前オーナー様はスペーサーとして黒いビニールテープや養生テープを使うという荒技を決めていました。いや~痺れますね。

 コイル本体がアルミ製で固定するホルダーが金属なのは、発生する熱を効率的に逃がすためなのに、養生テープでグルグル巻きにしては熱が籠るのでアカンはずですが、これで何年も動いていたので、ある意味、凄い!でも結局、最後は一発死んだけどね。

 私は、手元にあった0.5㎜厚のアルミ板を丸めてスペーサーにしました。
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 さらに前オーナー様、本来は色分けされている点火コイルからの配線を全て黒一色でやっておりました。これも配線図どおりの青や緑や黄色のコードに戻します。
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 昔、私のバイク整備の師匠、Iさんからハーネスをリビルドする際、黒コード一色でやった人の話を聞きまして。

「…古いヤマハのバイクのレストアやっていた客が、メインハーネスの配線をやり直したは良いけど、黒一色でやって、案の定、お手上げになって泣きついてきてな」

「仕上がりを見たら電工ペンチじゃなくて普通のペンチとニッパーで作業したもんだから、ぐちゃぐちゃで、これはメインハーネスを丸々交換したほうが早いと思って部品発注したら、マイナー車だったから、当然、メーカーで廃版でさぁ」

「Z2やCB750やCB400Fourと違ってリプロ品があるはずもなく、結局、マニュアルの配線図と睨めっこして、やり直したけど、原付だから、たいした配線じゃないのに酷い目にあった」

たしか車種はジッピィ50(ヤマハ初のレジャーバイクだけど誰も知らない)だったと思いますが、似たような行動をする奴が英国にもいました。

 ちなみに黒一色でやった理由は「何色も配線用コードを買うのが面倒だし」「覚えられると思った」だったそうですが、前オーナー様も同じかな?


 それは2018年10月の出来事。いつものようにKH250のキックペダルを踏みましたが、いつもは一発~三発で始動するのに、この日は、いくらキックしても全くエンジンが掛からず。

 仕方なくGSX250Eで出掛けて、後日、調べてみるとプラグから火花が飛んでいません。「これは早めに冬眠させて直そう」と思い、それからGSX250Eを日常の足に使っていたら、セル付きでほぼメンテフリーだし、不安なく遠出もできるし、同じバイクに三台も乗っているから長所も弱点も知ってて乗り易いしで、ついつい放置してしまい、気付いたら3年。さすがに不味いだろうということでKH250の再起動編です。

 急にプラグが三本とも火花が飛ばなくなったので、真っ先に疑ったのがイギリス製のボイヤーフルトランジスター点火システムの故障でした。カワサキの純正仕様ではKH250はポイント点火ですが、私のはイギリスからの里帰り物だけあって、前オーナーがボイヤー点火システムに交換していました。

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 当時は、入手してからキャブレターのOHをするだけでエンジン始動したので「ボイヤー、言われているほど悪くないな」とお気楽にそのままにしてきましたが、最近の製品と見比べるとステータープレートにKH250のマーキングがなかったり、トランジスターボックスのシールが異なっていたりと、どうもかなり以前の製品のようです。
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 念のため、イグニッションコイルも抵抗値をテスターで計測したところ、左シリンダー用のコイルが死んでいました。ここでふと疑問がわいたのですが、KHの場合、三個のイグニッションコイルのうち、一個でも死んだら点火しなくなるのか?です。だとすると原因はボイヤーではありません。

 ただ私、電気系はさっぱりわからないので、カワサキ・トリプルの師匠、ジローさんに「点火システムをボイヤーに交換したKH250はイグニッションコイルが一個だけ死ぬと、三発全ての火が飛ばなくなりますか?」とSOSしたところ、「たしか三気筒同時爆発だったけど、(配線図を見ると)コイルが一個ダメになっても三発とも火が飛ばないことはない」とのことで、死んでいるイグニッションコイルを配線から外して二発で火花が飛ぶかチェックしてみて、飛んだら原因はボイヤーじゃないし、飛ばなければボイヤーの可能性が高いとアドバイスをいただきました。さっそくやってみたら、やはり二発にしても火花は飛ばず。ああ、これはボイヤーの死亡かなと。

 死んだイグニッションコイルとボイヤーとの因果関係ですが、不動になる直前、左シリンダー用キャブレターへの給油ホースに取り付けてある燃料フィルターに妙にガソリンが溜まっていたので、思えば、あのときからすでにコイルが死んでいて、二気筒で走っていたのかもしれません。

  


 残暑も彼方に消え、空冷キャブ車にとって最高の季節になったので、KH250 で出掛けようとしたら、エンジンが掛からず。このところ忙しかったので数か月ぶりだからかな?と思いつつ、キックを繰り返すも反応なし。これはヤバいな。

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 バッテリーの電圧は12.9Vあって問題はなし。試しにプラグを抜いて、エンジンヘッドに当てて、キックしたところ、三発とも火花が飛ばず。となるとボイヤーのフルトラ点火装置が逝ったのか?

 そろそろ、全面的に手を入れてやろうかと思っていたので、冬場の時間潰しになりそうです。


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