Kさんは丁寧な話し方で、腰も低く、常連さんと新製品の話をしているときなどは、本当に飛行機好きなモデラーですが、何気ない世間話の中に、やっぱり向こう側の人なんだなと思わせるエピソードがありました。

 あるとき、Kさんが事務所でホビークラフト1/48ラヴォーチキン La-7を作っていると、運営するお風呂で働く女性に狼藉を働いた若い兄ちゃんが連れてこられました。本人は腕っぷしに自信があるのか、強がりなのか、挑発するような態度だったそうで、Kさんの机の上の作りかけのLa-7を見て

「なんだよプラモかよ。ヤクザのおっさんが、いい歳してガキかよ」と笑いました。

la7

随分と失礼なことを言う奴だなと思いながら、ふと、彼の手を見ると爪が伸びていたので、部下に押さえ付けさせて

「爪が伸びていますよ。身だしなみは大事ですよ」

「あなたは、まだ若いから教えてあげましょう。人の趣味をとやかく言うのは良くないことですよ」

「私、プラモ作りの御蔭でニッパーが上手に使えるようになりましてね」

と爪を深爪気味でパチン、パチンと、ゆっくり切ってあげてから

「ね、このニッパー、よく切れるでしょう?」

と言ったら

「すいません。勘弁してください。もう二度とやりません」

と泣き始めたそうです。

「せっかく爪を切ってあげたのに、ありがとうじゃなくて泣き出すんですから、子供の頃、親からどういう教育を受けたんですかね?躾は大事ですよね」

楽しそうに語っておられました。