クラウドファンドで出版支援させていただいた「特盛 山椒魚本」が届きました。日本に住む有尾両生類サンショウウオとイモリを網羅した写真図鑑と研究者・専門家による寄稿で構成されています。

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 2019年は、これまで1種とされてきたカスミサンショウウオが、アキサンショウウオ、アブサンショウウオ、イワミサンショウウオ、カスミサンショウウオ、サンインサンショウウオ、セトウチサンショウウオ、ヒバサンショウウオ、ヤマグチサンショウウオ、ヤマトサンショウウオの9種に再分類されまして。この冊子は新分類の全種を写真付きで収録しており、編集作業は本当に大変だったと思います。


 最近は同一種か否かを外観の特徴ではなく、遺伝子で調べるので、ニホントカゲからヒガシニホントカゲが分かれたり、これまで同種だったイシカワガエルが奄美大島と沖縄本島は別種になったりと数年前の爬虫類・両生類図鑑が役に立たなくなりつつあります。


 この流れに対応して出版社も過去の図鑑を改訂したいものの、編集を終えて、いざ発売の直前・直後に今回のカスミサンショウウオ並みの再分類みたいな大きな変化が起こると困るので、なかなか行動を起こせない閉塞的な状況だそうです。そんな中で、この本はシリケンイモリをオキナワとアマミに分けてないなど気になる点もありますが、ことサンショウウオに関しては全種写真収録という点で高く評価できます。


 一般に需要があるとは思えない両生類の専門書故のクラウドファンドでしたが、今回、出版の支援した人は335名でした。もし私が「ズリーニィ本の続編でトゥラーン戦車の資料本を出したいから、皆さん支援してください!」と叫んでも、たぶん10名も集まらんでしょうから、これは凄い数字だと思います。