去年5月に、アエロフロートパイロットの友人が来日したときの話。

事前に「Matagi sword」が欲しいというメールがあったので何だそりゃ?と思い、絵を描かせたら単なるナタだった。仕事で滞在した欧州某国のホテルで偶然、マタギのドキュメンタリー番組(NHKの海外向け番組?)を見て、
ロンリー・ハンターで森の知恵者であり、自然と共存するマタギに感動し、彼の腰にぶら下がっていた「Matagi sword」が欲しくなったそう。

念のため、あれはSword ではなくBush cutterだぞと説明してから郊外型の大きなホームセンターに行くと、安価な中国製から、地方の鍛冶職人が作った国産高級品まで豊富に品揃えしていた。

50代くらいの店員さんがニコニコ接客してくれたのは良かったが、人がせっかく事前にSwordではないと説明したのに、カタコト英語を交えながら

「It's Samurai KATANA! KATANAと同じ方法、わかる?make, make, Hummerよ、Japan Kraftman, makeするね。Hummer カンカン、同じKATANA, Samurai 魂ね」

「It's very very good KATANA Swordよ、わかる?うん?持ってみて」

その奇妙なセールストークに友人も苦笑しつつ手にすると、親指を立て、

「Hey! very good 、You are American Samuraiよ」

あ~、店員さん、彼はアメリカ人でなくロシア人ね。結局、立派な革製ケース付きの鍛冶職人の逸品をお買い上げ。帰国したらダーチャ(別荘)の手入れに使うそう。

その店員さんによれば、近所の農家(周囲は畑だらけ)には使い潰し用の中国製しか売れないが、ナタに限らず包丁やハサミなどの国産の高級品刃物や工具、調理器具を買ってくれるのは、もっぱら外国航空会社のパイロットやCAだそう。

手慣れた接客は、そういう理由があったのかと妙に納得。