「今日、うちの父親が、変な話をしてたんだけど…」

奥さんが、自分の父親を車に乗せて出掛けたとき、
元同僚の話を始めたそうです。


「その人は、昨年、84才で亡くなったんだけど、
若い頃は日本海軍の大型潜水艦の無線手で、
潜水艦の中に、折りたたみ式の飛行機を何機も入れて、
太平洋を横断して、アメリカ本土を攻撃する作戦に参加した、
とか言うの。60年以上も前にそんなことができたの?」

有名な話だと思っていたのですが、
普通の人は、伊四〇〇潜水艦と晴嵐なんて知らないんですね。
作戦決行直前に終戦を迎えたけど、実話だよ、と言うと、
ほっとした様子で、

「ああ、良かった、てっきりボケて、
空想と現実がごっちゃになったのかと思った」