1990年代、ヨーロッパには、大小様々なレジン・メタルカーのメーカーがありましたが、その多くは、休業もしくは廃業しました。ある程度の規模で活動していたメーカーは、販売数の減少とか、資金の行き詰りなどの経済的な理由からですが、個人が趣味の延長でやっていたメーカーは、本業が忙しくなったり、好きな車種を出したら、燃え尽きてしまったり、単に飽きたりと、理由は様々だったみたいです。
 
 今回、その一つのブランドの権利を所有している英国紳士様から、模型好きな出資者を確保しブランドを復活させるので、金属素材製作の手配をして欲しい…との相談を受け、二カ月ほど動き回りました。
 
 メタル注型やエッチング、金属挽き物はイギリスでも手配できますが、技術や設備が1980年代で止まっているうえ、コストも高いので日本か台湾、中国で生産したいとのこと。こういう話は嫌いじゃないんで、せっせと動き、こちらの業者手配は、すんなりと進み、見積もりを出しました。
 
 ところが復活するブランドの方向性を巡って「かつての製品を現代の水準に合うよう改修して再販する」と主張する出資者に対して「全く新しいアイテムを開発したい」とブランド・オーナーは考えていたため、真っ向から対立し、紆余曲折あって最終的に、両者は決裂し計画は頓挫しました。残念な結果でしたが、模型に大金を投資してくれるスポンサーが普通にいるという環境は羨ましかったです。一応、私の1/12バイクに出資する気はないか、ダメ元で出資者の方に打診してみましたが、
 
「あのマッハ・レベルで、トライアンフ 500 スピード・ツイン(5T)をやってくれるなら、開発費の60%の投資を考えてもいい。ただしスケールは1/8でな」
 


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「200個生産して、私が実車のオーナーズクラブに掛け合えば、100個は間違いなく引き取ってもらえる。残り100個をヨーロッパとアメリカと日本で売ればいい」
 
「1年後、戦後のテレスコピック型を100個販売し、そのとき旧型も50個ほど再生産すれば、開発資金は回収できて儲けも出る」
 
てな話でしたが、そのアイテムとスケールだと、私が盛り上がらないで無理ですね。40%は自己負担しないといけないし、たぶん日本じゃ売れないし。世の中、うまくいきません。