千葉県の南部、外房と内房に数多く生息する「竹岡喰い」の猛者たち…
そんな彼らが、心の底から恐れる1杯のラーメンがあるという。彼らは畏怖の念から、そのラーメンをこう呼ぶ。
「白鯨(モービィ・ディック)」
その日、私は竹岡式ラーメン好きの友人らと一緒に白子町にある「炭火らあぁめん1(いち)」を目指していた。目的は、同店の最高峰メニューである「ぶうぶうスペシャルらあぁめん(\1,300-)」に挑戦するためだ。

前回、訪問した時、店員さんに
「この、ぶうぶうスペシャルって、どんなラーメン?」
と尋ねたら
「女性の拳大のチャーシュー・ブロックと味玉がトッピングされた
ボリューム満点のラーメンですよ」
と説明してくれた。そこでラーメン好きな友人らと「竹岡突撃隊」を結成し、これに挑戦しようと計画したのだ。しかし、行く途中の車中、メンバーの一人が不吉なことを口走る。
「…ぶうぶうスペシャルを注文する者には、極々、たまに恐ろしい災いが訪れると聞く…
その呪いの一杯は、どんなラーメン好きでも怖れ慄くと…」
しかし、気分が高揚している竹岡突撃隊のメンバーの前には、そんな忠告も、ただの戯言に過ぎなかった。店に到着すると、男達は躊躇なく人数分のぶうぶうスペシャルを注文した。このとき、彼らの誰もが、この後の恐怖を予想していなかった。
待つことしばし…やがて、店員さんが、次々とラーメンをテーブルに運んできた。
話に聞いた拳大のチャーシューの塊は、ネギの下で見えない。

ネギを除けると、その姿が見えた。

まさに説明に嘘なしの圧倒的なボリューム!
次々と男達はネギを除け「おお~!」とか「これはスゴイ!」の歓声をあげた。
よ~し、私も、と思い、ネギを除けたら、異様なチャーシューがあった。

あれ?色が白い?なぜ?

横から見たら、なんということだ!チャーシューの3/4が脂肪だ!
テーブルの誰もが叫んだ。
「は、白鯨だ!」
濃い口醤油の海に浮かぶ、その白い塊こそ、伝説の白鯨だ。
そう、チャーシューには、まれに外れ部位が存在するのだ
これが、まさにソレ。
とりあえず、かじってみると
豚骨ラーメン店で、大食い自慢の御客が
「マスター、スープは油多めで背油チャッチャは倍がけで頼むブフ~」
という、普段なら聞いてて、胸焼けしそうな注文もママゴトにすら聞こえる圧倒的な油のパワー…
意地で完食したが、お腹がもたれて、その日は何も食えず。数日間、ベルトの穴が1個増えた状態でした。みなさんも、これが出たら覚悟してください。
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