GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2022年12月


 発語障害と嚥下障害のリハビリに奮闘してた10月、誕生日だし、自分に御褒美で
モトグッチ254のマグカップを買いました。かつては継子扱いされていた実車も最近は欧州で再評価され、こうしてマグカップが出るまでになりました。
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 海外オークションにイギリス人が出品しており価格応談可だったので、相場価格で打診したら、端数程度しか値引きません。
 友達にブライアンというイギリス人がおりまして。
元駐香港イギリス軍人で、香港が中国に返還されると軍を辞めて日本企業の香港支店に就職し、その後、東京に転勤となります。
 最初は真面目に働いていましたが、男前だったのでモテまくり、すぐに不良外国人まっしぐら。あとは女性を転々と変えて、ヒモ暮らしを10年くらいやってた立派なクズ野郎でございます。

 彼はイギリスにいた頃、CB400LCの輸出型であるCB450SC(ナイトホーク450)に乗っていたので、CB400LCのオーナーズクラブがあれば加入しようと探しましたが、超不人気車種のCB400LCにオーナーズクラブなんぞあるはずもなく、「クラブがないなら、オーナーと知り合いたい」に変わり、共通の友人だった船橋市に住むWさんからの紹介で知り合いました
 同じバイクのオーナーだったうえ、香港の旨い店の話でも盛り上がり、すぐに意気投合。
CB450SC
CB450SC

 そんな彼が、イギリス人と交渉事で行き詰まったら「He has only straw in his head. 奴の頭の中には藁しか入ってない」って台詞を言って、上司や政治家を悪者にして話を進めろと教えてくれたので、
それを実践。

「今の総理大臣の頭の中には藁しか入っていなから円安が止まらんの。だから、この値段だと嬉しいわ(The current prime minister has only straw in his head. Japanese Yen will not stop weakening. So, I would be happy to pay this price. )」

とメールしたら「日本のキシダは藁が入っているだけいい。ボリス(ジョンソン)の後のリズ・トラスは藁すら入っていないんだぜ」と返信があって、見事に交渉成立でした。
映画「地獄の黙示録」でカーツ大佐も、この台詞を口にしてたんで、英語圏の定番フレーズなのかもしれません。
 ブライアンは同棲相手から結婚を迫られると、姿を消すを幾度となく繰り返していましたが、最後は、自分好みのアラフォー美人と巡り合って結婚し、現在、幸せに暮らしてます。ちなみに奥さんは彼の過去を全く知りません。


 人生の楽しみの半分以上が美味しいものを食べることと、気心が知れ合った仲間と馬鹿話をすることだったので、脳血管疾患で言葉が話せない、物が食べられない状態になって、かなり精神的に落ち込みました。当然、模型製作なんぞ作る気には到底なれず、このマークB中戦車も随分と前に自作デカールは完成したものの、ずっと作業机の上に放置していました。


 そんな状態でしたが、三週間ほど前からリハビリの成果で言葉や咀嚼が、かなり回復し、それ共に製作意欲も湧いてきました。丁度、三年ぶりに東京FVの会が開催されるので、それに間に合えば、労農赤軍塗装のMk.Bを持っていくぞ!とやる気になって、マースキングに着手しました。

 マークBの特徴的な迷彩を再現するためのマスキング作業では、ガイアノーツのマスキングゾル「マスキングコートR」が活躍してくれました。もともと、縦横比のバランスがおかしいキットでしたが、それに合わせて細部のモールドも、いろいろいじってあって、どうあっても写真どおりの迷彩パターンは再現できないことがわかり、製作意欲が萎え、結局、東京AFVの会までには完成せず。

 それでも、会で様々な作品を見て英気を養なったとこで、懐かしい知り合いと再会して駄話を。

「……そういえば、前に作ってたマークB、どうなったの?デカール問題は解決したんでしょう?」

「それがキットの縦横比のバランスがおかしくて、それに合わせて細部のモールドも、いろいろ変更しているんで、どうあっても写真どおりの迷彩パターンは再現できないことがわかって、製作意欲が萎えたの」

「…そんなの誰もわからないから、適当でいいんじゃない? アイテム的に参考にして作るモデラーもいないだろうし」

 言われてみれば、そうだよな、ということで、始めました。

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 基本塗装が終わったので、これからウエザリングです。

 マークB中戦車を使用した軍隊は本国のイギリス軍、バルト三国のラトヴィア軍、イギリス軍から鹵獲し、再使用した労農赤軍だけですが、この中では労農赤軍の二色迷彩とハンマーと馬鋤赤星マーキングが一番派手で、Mk.Bの異形にも似合っている気がします。

 一説によると、この独特な迷彩の考案者は、ロシアン・アヴァンギャルドの一翼を担ったデザイナーである巨匠アレクサンドル・ロトチェンコだそうです。
ロトチェンコ

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 ボイヤー・フルトラキットのギボシ端子はイギリス規格で、日本のJIS規格とは微妙にサイズが異なり、オス・メス共に少し太いです。なので、私は、KHのハーネスと接合が必要になる片側を写真のようにJIS規格端子に交換しました。

 ただ、これは改造で当然、代理店の保証が受けられなくなるので、良い子は絶対にやってはいけません。やると煉獄に落ちて紅蓮の炎で焼かれます。だから、絶対にやってはダメ。いいですね。絶対だぞ!

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上が改修済、下がボイヤーそのまんま

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左が改修済。右がボイヤーそのまんま

 んで、これが、こうやって接続するわけでして。

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  何度も言うけど、この画像を見て作業の意味がわからない子は絶対にやってはダメだぞ!ダメだからな。

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 イグニッションコイルを交換したので、プラグコードとプラグキャップも新品にしようと二輪館で買ってきたら、最近のNGKのプラグキャップって、もう白文字加工されてないんですね。
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下が今まで使っていたプラグキャップ。最初から白文字加工アリ

 今でも手頃な値段で供給してくださっているメーカー様のことを考えれば、文句を言う筋合いではないので、ここは自分で白い塗料を入れます。

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 うんうん。やっぱりNGKのプラグキャップはベークライトカラーに白文字だよ。


 英国里帰りKH250に付いていた三本の台湾製イグニッションコイルは、二本は同じデザインのWAT YONG製で、パンクした一本がデザインが異なり、ブランドを示すシールもありません。どうやら前オーナーは、過去にイグニッションコイルが故障したとき、三本同時に交換しなかったようです。

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 今回、死んだのは一番左の赤い12Vのシールが貼ってあるコイルです。私はてっきり、これが旧型デザインで残り二本が新しく、前オーナーはコイルが死ぬ都度、一本づつ交換していって、最後の旧式コイルが死んだと思っていました。ところが実際には、今回死んだコイルが新型で、まだ生きている二本が旧型デザインでした。つまり前オーナーが交換した新型コイルが故障したのです。

 どうして、こうなったかは不明ですが、とりあえず私は三本とも交換することにします。


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