GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2020年05月


 ツツジの季節も、そろそろ終わり、やがて梅雨ですが、南流山の猫たちは元気そうです。

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 静岡県に住む友達の蕪風さんにヤックスドラッグ限定の「サッポロ一番 竹岡式ラーメン五袋セット」を送ったら、御礼に「マルちゃん焼きそば 袋入り乾麺」の五袋セットを送ってくれました。

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 うちの近所で売っている丸ちゃん焼きそばは、生麺の3食セットだけで、インスタント乾麺を見たのは初めて。「なんだ?これは?」とメーカーのホームページで調べたら、なんと!静岡県でしか売っていない限定品でした。


 豚バラ肉とキャベツ、モヤシを具に、さっそく作ってみましたが、麺がモチモチしていて乾麺とは思えず、旨い!

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蕪風さん、ありがとうございました。

モデラーの皆さん、今年は残念でしたが、来年、合同展示会が開催されたら、ぜひ、これをお土産にしてください。



 Kさんは丁寧な話し方で、腰も低く、常連さんと新製品の話をしているときなどは、本当に飛行機好きなモデラーですが、何気ない世間話の中に、やっぱり向こう側の人なんだなと思わせるエピソードがありました。

 あるとき、Kさんが事務所でホビークラフト1/48ラヴォーチキン La-7を作っていると、運営するお風呂で働く女性に狼藉を働いた若い兄ちゃんが連れてこられました。本人は腕っぷしに自信があるのか、強がりなのか、挑発するような態度だったそうで、Kさんの机の上の作りかけのLa-7を見て

「なんだよプラモかよ。ヤクザのおっさんが、いい歳してガキかよ」と笑いました。

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随分と失礼なことを言う奴だなと思いながら、ふと、彼の手を見ると爪が伸びていたので、部下に押さえ付けさせて

「爪が伸びていますよ。身だしなみは大事ですよ」

「あなたは、まだ若いから教えてあげましょう。人の趣味をとやかく言うのは良くないことですよ」

「私、プラモ作りの御蔭でニッパーが上手に使えるようになりましてね」

と爪を深爪気味でパチン、パチンと、ゆっくり切ってあげてから

「ね、このニッパー、よく切れるでしょう?」

と言ったら

「すいません。勘弁してください。もう二度とやりません」

と泣き始めたそうです。

「せっかく爪を切ってあげたのに、ありがとうじゃなくて泣き出すんですから、子供の頃、親からどういう教育を受けたんですかね?躾は大事ですよね」

楽しそうに語っておられました。



 今から30年前の話になりますが、カーモデラーのSさんと同業で、もう一人、忘れられない御客さんが1/48の大戦機モデラーのKさんです。見た目が堅気で、優しそうなSさんとは真逆で、強面で髪形も服装もアクセサリーもまんまでした。

 初来店での買い物がラクーンモデルの
1/48ピョレミルスキで、絶対に勘違いしていると思い、これはプラモデルじゃありません、普通の人には組めませんよと説明すると

「知っています。レジンキットですよね。個人的にはレジンよりバキュームの方が軽いし、プラモ用の接着剤も使えるんで好きなんですけど、1/48のピヨレミルスキは、これしかないんですよ」

と言うほどのマニアでした。

ピヨレミルスキー

 三か月後、いきなり見事な完成品を持って来てきたので驚いていたら、たまたま店内にいた若くて無敵な飛行機オタクが、相手の怖さよりも自分の知識を語りたくて仕方ない欲が勝ってしまい、

「機体色はもっとグリーンが
」「コクピットは」「そもそもラクーンのキットは」

などと命知らずのモデラー的因縁付けを始めたので、こっちはハラハラしましたがKさんは

「なるほど。勉強になります」「お若いのにお詳しいですね。ありがとうございます」

と終始、紳士的に応対。外見とは裏腹に、いつも言葉使いが丁寧な方でした。


その出来事から数年経ったあるとき、フィンランドの航空博物館の写真を手に来店。

「先日、仕事でルーマニアに行ったんですけど、ついでにフィンランドに寄って、博物館でピョレミルスキの実機を見てきました」

「昔、いろいろ教えてくれた彼には申し訳ないけど、機体色は私の完成品の方が実機に近かったですよ」

撮影した沢山のピョレミルスキの写真を見せてくれました。

 Kさんの名刺の肩書は観光企画会社の社長で、入浴施設と外国人ホステスのクラブを経営しており、丁度、巷でロシアン・パブで働くルーマニア人ホステスの噂が聞こえ始めた頃だったので、ルーマニアでの仕事内容も察しがつきました。

 
ルーマニア出張では、先方の幹部からブカレストの市内観光に誘われたので「市内観光より軍事博物館に行きたい」と頼んだら苦笑され、「博物館が銃の横流しをしている話ならガセ情報だからな」と言うので「ルーマニア国産戦闘機IAR-80を見たいんだ」と言ったら、その幹部は元空軍の軍人で滅茶苦茶に喜ばれたとのこと。

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 Kさんの愛読書は「北欧空戦史(中山雅洋著)」で小国フィンランドが強大なソ連に立ち向かう姿に幾度も勇気づけられたそうです。

「仕事上、大きな権力とぶつかってトラブルになったり、理不尽な思いをしたとき、何度も読み返して怒りを抑え、自分を鼓舞しました」

一見、良い話ですが、大きな権力ですかぁ…

(続く)


 パンツァーショップのマークBですが、本来は車体と一体化されているはずの後部燃料タンクが別体だったり、機関室上面も乗員用ハッチがなかったり、排気グリルのサイズが大きすぎたりと実車と違っています。

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 もともと資料が少なく、人気もない戦車のレジンキットなので、ある程度の推測は仕方ないです。ただ、個人的には納得できなかったのでプラ板で丸々新造しました。

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 今はリベット植えやヒンジ、細部の工作をやっています。老眼には辛い作業でございます。

 

 

模型店を開業して間もない頃の話です。

 あるとき、名刺の肩書は不動産会社の社長で優しそうな紳士だけど、運転手と御付の部下がどう見ても堅気ではないSさんという御客さんが来店し、タミヤの
1/12フェアレディZと赤い缶スプレーを買って行きました。二週間後、再度来店いただきニコニコしながら

「いや~欲しかったのはフェラーリだったけど、フェアレディと間違えちゃってさぁ」

一瞬、うわ、これは因縁を付けられるヤバいパターンかと思ったら、


「作って楽しかったよ。タミヤは1/12でレーシングカーでないフェラーリは出してないの?」

となって、それ以降、1/121/16の大きな車を買ってくれる良いお客さんに。

 
あるとき、オオタキ(当時は、まだ活動していた)の1/16トヨタ2000GTを頼まれ「これ私の直通だから。(模型が)入ったら、この番号に掛けてよ」とメモを渡されました。当時は、まだ携帯電話が普及しておらず、それまで注文をもらったキットの入荷連絡は会社の代表電話にしていました。


 たまたま問屋に在庫がなく、少し時間が掛かったものの、入荷したので教えられた番号に連絡しました。電話に出たのはSさんではない別の男性でした。

「はい」

としか言わないので

「こちらはSさんの御電話でよろしいでしょうか?」

と尋ねたら、ちょっと怒ったような声で

「何でこの番号知ってんだ?お前、誰?」

「Sさんから御贔屓にしていただいる模型店で、御注文をいただいたオオタキのキットが入荷したので御連絡しました」

と説明したものの取り次いでくれる様子はないので仕方なく

「御注文の模型が入ったとお伝えください」

とお願いして電話を切った直後に、Sさん本人から折り返しが。

「ごめんね~マスタ~、不愉快な思いをさせちゃって。口のきき方を知らない奴でさぁ。ちゃんとコツンしとくから許してね」

翌日、Sさんがキットを引き取りに来てくれました。そのときも部下の非礼をお詫びいただきましたが「全然、気にしてないですから」としか言えません。もちろん、コツンは具体的に何をするのか怖くて聞いていません。



 

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