GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2020年02月


 2018年まで仕事をした香港の某模型メーカーより国際宅配便が届きまして。開けてみたら、1/72の中国人民解放軍の装輪歩兵戦闘車の完成品と沢山のマスクが入っていました。
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 こんな車両の設計はやっていないので問い合わせたら、本当はマスクだけを送りたかったけど、荷物の内容物について正直にマスクと記載すると途中で盗まれる可能性があるから、送り状には「完成品模型」と記載し、万一、日本の税関検査で開封されたとき、トラブルにならないよう装甲車を入れたとのこと。

 香港の報道で日本の状況が、あまりに悲惨だったから送ってくれたそうです。我々には香港の方が余程大変に思えますが、香港は中国本土から来る中国人はもちろん、香港人も外国人も例外なく14日間の強制隔離を行っており、日本が武漢など一部地域を除いて、今でも中国人渡航者を普通に受け入れていることが理解できないと言われました。

 その件に関しては与党内でも反対している政治家がおり、私自身も疑問を感じていると返しましたが、彼らにすれば奇異に見えるのでしょうね。

 どのような報道がされたのか詳しい内容は不明ですが、香港とてマスクが不足しているのに、わざわざ送ってくれたというのは、日本の方が大変だと感じたのでしょう。とてもありがたいけれども、申し訳なくもあり、複雑な気持ちです。

 現在、中国政府の要請で日本への団体旅行は禁止され、日本の大使館や領事館でも新規の観光ビザ交付は激減しています。しかし、日本は、これまでに中国の富裕層向けに有効期限が3年間もしくは5年間の数次ビザを多数発給しており、これがあれば有効期限内なら、何度でも自由に日本への入国が可能です。
 一例ですが沖縄の観光振興のために2011年から導入した「沖縄数次ビザ」は、最初の訪問時に沖縄に一泊しさえすれば、あとは3年間、何度でも訪日が可能で、2015年度だけで60,298名の中国人に発給されています。

 今でも成田空港だけでも毎日10便程度の中国本土(香港は含まず)からの到着便があり、法務省によれば一日あたり約800名の中国人が入国しているそうです。仕事や公務の渡航者もいるでしょうけど、多くは数次ビザ保有の富裕層だと思われます。「既に国内感染が広がっている現在、今更の入国規制は無意味だ」という意見もありますが、厳しい入国制限や強制隔離を実施している国から見れば、日本は対応が甘いと言われても仕方がないかも。


 


  先日、徳之島の港からフェリーに乗る際に、島民らしき同年代の方からランプの語源について聞かされた話を2月16日に投稿した「フェリー波之上」内で書きましたが、ブロ友の馬鹿模型番長さんからランプの語源は「Ramp way (ランプ・ウェイ)」だと教えていただきました。

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 Rampは坂、傾斜の意味で、高速道路の一般道からの乗り込み用の坂道もランプですし、ちょっとマニアックですが輸送機のカーゴドアから出る積み込み用傾斜板をローディング・ランプと言いますね。

 あのおっちゃん、自信を持って嘘を教えやがったなw


 南流山界隈は野良猫を眺めたり愛でる人が多く、猫の写真を撮っていると、そんな方々から話し掛けられます。去年、「この先の駐車場に漫画みたいな顔した猫が来る」という情報を教えてもらい、期待して何度か通いましたが、なかなか遭遇できず。

 昨日、郵便局に行ったついでに散歩がてら遠回りをして件の駐車場の前を通るといました。

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 どうやら寄り目気味の斜視のようです。たぶん、当人は真正面で私を見ているだけなのでしょうけど、この表情は何とも言えません。


  三泊四日の徳之島旅行の最終日、一緒に来たメンバーは飛行機で帰りますが、私は亀徳(徳之島)ー鹿児島新港のフェリーに乗ることにしました。

 私事ですが昨年12月上旬、義父が急逝しました。義父は奄美大島生まれで、大勢の親戚が鹿児島から葬儀に参列してくれました。そのとき、たまたま奥さんの従兄に「1月に徳之島に行くけど、帰路はフェリーにしようか検討中です」と話したところ、絶対にフェリーがいいですよ。今のフェリーは8000トン級でスタビライザーも装備しているので、昔と違ってほとんど揺れないし、徳之島は亀徳港を夕方に出るので、晴れていれば船上から海に沈む夕日が見られる。夕日を見て、食堂でウドンでも食べて、缶ビール飲んで気持ちよくなって、目が覚めたら鹿児島ですよ…と強く推されたので12月末に予約をしました。

 徳之島ー鹿児島間は飛行機なら一時間ほどですがフェリーだと15時間。昔なら時間がもったいないので絶対に選択することはなかったですが、サラリーマンなら定年の年齢となり、のんびりした旅行がしたくなりました。船室は雑魚寝の大部屋でなく、2等寝台個室を予約しましたが、意外にも料金は飛行機と大差なかったです。
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 フェリーの出港は17:00なので一時間前に港へ。予約券と乗船券を引き換えて待合室でのんびりと待ちます。フェリー会社の方に「今日は揺れそうですか?」と尋ねると「波の高さが4mを超すと、かなり揺れるんですが、今日は予報では3~3.5mだから、そこまでではないでしょう」との微妙なニュアンスの回答。

 乗降客の多い鹿児島新港や奄美大島の名瀬港にはボーディング・ブリッジがあり、船とターミナルが連結され、楽に乗下船できますが、徳之島の亀徳港にゃ、そんなリッチな装備はないので通常は船体側面のタラップ階段を登って乗船します。荷物が多いときやお年寄り、妊婦さんにはキツイです。

 フェリーが入港するとスタッフが待合室に来て「今日は湾内の波が高く船体の揺れが激しいので、(乗船用の)タラップからでなく、後方乗船となります。あらかじめ御了承ください」との説明がありました。乗り慣れている風の島民の方から「ヤバい」「今日は、とっとっと寝よう」の声がありましたが、後方乗船はヤバさとしては軽めで、もっと波が高いと島の反対側の平戸野港への入港となり、本当にヤバいと運休になるそうです。念のために予め用意しておいた酔い止め薬を飲みました。
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 乗船は普段なら自動車やコンテナが入る後方ランプから。

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 乗り込む際、後ろに並んでいた同年代の島民から「なあなあ、なんで、この入り口をランプっていうか知っている?」と急に話し掛けられます。知らないと返事したら「ランディング・プレート(Landing plate)の略なんだよ」とちょっと自慢げに語ってましたが真偽は不明です。
 
 全員が乗船し、コンテナの積み降ろしが終わると出港です。

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 残念ながら曇天で夕日を見ることはできなかったですが、島が段々と遠のいて小さくなり、最後は見えなくなる光景は飛行機では味わえません。これだけでもフェリーにして良かったなと思いました。
 
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 2等寝台個室は二畳ほどの広さでベッドの他に机とTVがありました。徳之島や奄美大島が近いうちは地上波放送が入りましたが、洋上だとBSのみ。船内Wi-Fiもありますが、回線状況は、あまり良くなかったです。

 17:30になると食堂がオープンします。昼食が遅めで、それほどお腹は空いていなかったのですが、僅か30分だけの営業時間なので、とりあえず沖縄そばを注文しました。
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 実はレンタカーを返す直前、最後に寄ったファミマで巻きオニギリを売ってまして。最後の2個だったので躊躇せずに買い、夜食の確保ができていたので沖縄そばで十分でした。

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 21:00に奄美大島に到着。もうすっかり真っ暗です。乗船用のボーディング・ブリッジが見えます。

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 奄美大島を出発して間もなく、従兄の言葉とは裏腹にフェリーが砕氷船の如く上下動を始め、通路も手摺を掴まないと歩けなくなり、仕方なく部屋で横になっていました。結局、そのまま寝たのですが、揺れ大きく、途中、何度か目を覚ましました。
 
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 翌朝、鹿児島に近づくと桜島が見えました。義父が生前、千葉は火山灰が降らないだけでありがたいと言ってましたが、もうもうと上がり続ける噴煙を見ると「なるほどな」と納得です。季節風の関係で夏は、もろに鹿児島市内に灰が降るそうです。

 鹿児島新港には定刻どおり8:30に到着しました。船を降りた後も一日中、身体が上下に揺れていました。

 


 徳之島産の珈琲豆を使う喫茶店があります。お店の名前は「コーヒースマイル」で、場所は戦艦大和の慰霊塔がある犬田布岬です。

 慰霊塔に行く度に寄ろうと思うのですが、いつも店の前に入店を阻止する悪い二人組がおり、毎回、全然どいてくれないので果たせず。

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 今回、運良く不在だったので初めて入ることができました。

 店主の旦那さんである吉玉誠一さんが島内で珈琲農園をやっており、そこで収穫された珈琲豆を使って奥さんが徳之島コーヒーを提供している…と書いてしまうと簡単ですが、お話を伺うと大変なご苦労があったそうです。

 吉玉誠一さんは宮崎県の出身で珈琲農園をやりたくて徳之島に移住しました。珈琲の栽培に適しているのは北緯25度から南緯25度のコーヒーベルトと呼ばれる地域ですが、実は徳之島は、このエリアから北に外れています。しかし、吉玉さんは島内の植物層から栽培が可能ではないかと考え、最初は徳之島の気候に合った品種探しから始め、たまたま島内で観賞用に珈琲の木を植えていた方から苗木を分けてもらって農園はスタートしました。

 しかし、この苗木があまり実が生らない品種だったので、新たな苗木を探さねばならなくなったり、島内でサトウキビ栽培が盛んになると、そっちが儲かるからと借りていた農地を地主に追い出されたり。なんとか軌道に乗りかけた農園が台風で壊滅的打撃が受けるなど文字どおり苦労の連続の40余年だったそうです。

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 現在、吉玉さんの奥さんが切り盛りしている喫茶店も40年前から営業していましたが、前オーナーが引退するということで店名と共に引き継ぎ、2016年に改装して今の姿になりました。以前は季節限定だった徳之島コーヒーも収穫量が増え、最近は通年提供できるようになったそうです。

 さらに、2017年から味の素AGFや丸紅、町役場が一体となって「徳之島コーヒー栽培支援プロジェクト」始まり、徳之島での本格的なコーヒー栽培を支援してくれることになりました。「主人も75歳。もう10年早く、この話が来てくれれば、苦労が減って楽ができたかもね」と笑っていました。数年後、徳之島産のコーヒーが全国で飲めるようになるかもしれません。

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 犬田布岬に行く途中に道でヤギの親子が放し飼いに。人馴れしているのか車が傍を通っても逃げません。いろいろ気持ちが和んだ犬田布行きでした。


 今回、恒例だった忘年会旅行を新年会旅行に変更した大きな理由がヒカンザクラ(緋寒桜)です。早咲きで有名な伊豆半島の河津桜と同種で、徳之島では1月下旬~2月中旬に満開となります。
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  忘年会旅行で何度か徳之島を訪れるうちに「年が明けたらヒカンザクラの季節ですよ」と聞くようになり、それなら一度、島の桜を見ようじゃないかということで日程を遅らせました。
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 ただ、航空券は直前では席がなかったり金額も高くなるので、数か月前に今年は暖冬だから開花は早めの1月下旬だとヤマを張り予約しました。「外れたら笑い話だね」などと言っていましたが、嬉しいことにドンピシャリ。

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 南国らしい濃いピンクが綺麗でした。

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