GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2018年10月


 歯医者に行って会計待ちの際、スマホのメールチェックをしていたら、隣に座っていた70~80代くらいの爺さんがチラチラこっちを見て

スマホって、なんでもわかるんだろ?便利だよな」

と声をかけてきまして。
自分も欲しいけど、老人が持つと詐欺にあうからダメだと同居している長女が許してくれないとか、まあ、この辺までは普通の世間話でしたが、いきなり

インリン・オブ・ジョイトイ、知ってるか?」と。

これは話を引き出すと、間違いなくおもしろいパターンだと思い乗っかることにしました。

私「ああ、覚えていますよ」

爺「今、何しているのかな?」

私「確か台湾に帰国したはずですよ」

爺「そんなこともスマホでわかるのか?」

いや、前にTVで見た、うろ覚えの記憶ですと答えると

爺「ワシ、昔からインリンの写真集を大事に持っててな。あの娘は全然、美人じゃないけど、いい身体していて、そこが良かった。それを最近、長女が、もう使わないでしょうとか言って勝手に捨てやがった!」

「使わないって、一体何を言ってるんだ!わからんのは、ワシは猫を飼っているんだけど、そっちは、かまわんと言うんだ。猫をかわいい、と言うのと、インリンいい女だ、言うのは同じだろうが?なぁ。何で猫は良くて写真集、ダメなんだ?」

 なんだか厄介な話になってきたぞと思ったら、運良く、付き添いで来ていた私と同年代の女性(たぶん、写真集を捨てた人?)が診察室から出てきて、先生から伝えられた口腔ケアの方針を説明し始めたので、その隙に逃げてきました。


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 9月末に東京ビッグサイトで開催された全日本模型ホビーショーでは、様々な新製品が発表されましたが、個人的に気になったのは…

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 ハセガワ 1/12 KH400A7でございます。まさか21世紀になって、新規金型のカワサキトリプルのプラモが発売されるとは!KHのオーナーなので、最高に嬉しいです。

 カラーリングは、一番人気の最終型、通称ウリボーでございます。おそらく実車を知っている人の8割位が、この塗装をイメージすると思います。

 自分のKHは、この一代前のB4なのですが、「LST」と呼ばれる不人気なカラーリングで、レストア作業をしている最中から「最終カラーに塗り替えたら?」とか「KHといえばライムグリーンのウリボーでしょう」と言われ、それは今でも続いています。


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前作GT380も、かなり良くできたキットでしたが、今回もその路線を引き継ぎ、オイルタンクやKH400独特のエアクリーナーケースも再現されています。


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 シリンダーとヘッドは別ランナーになっているので、おそらくKH250B5も発売されると思いますが、デカール替えでA5~A6、シート&ブレーキのマスターシリンダーを変更すれば、A3~A4も展開可能です。

 11月の発売が今から楽しみです。



 国際展示場にて9月28日から30日まで開催された全日本模型ホビーショーに初日の商談日に行きました。用事を終えて会場を見て歩いていると「プラモデルで見る60年」という特別展示をやっていまして。
 メインはショーケースに並べられたプラモで、模型業界のブームと世相を知ることができる素晴らしい内容でしたが、ブース内にOS模型店という昭和30~40年代の模型店が再現されてました。

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 私が小学校4年生の頃、自宅から、結構、離れた住宅地の中に古い木造の店舗兼民家のプラモデル店がありました。残されていた看板から以前は別の商売をやっていたようでしたが、コンクリートの土間の奥に小上がりがあり、三方を手作りの木製棚で囲んでいました。棚には各社のプラモがびっしりと並べられていました。棚の前には机とテレビが置かれ、40代半ばくらいの女性がテレビを付けっぱなしで、趣味なのか内職なのか、いつも針仕事をしながら店番をしており、お客さんは土間から棚のプラモを指差して「あれをください」「あの戦車は幾らですか?」とかやる店でした。

 当時は玩具店や文房具店、本屋でもプラモを売ってはいましたが、店内全てがプラモデルという店は近所でそこしかなく他では見たこともないプラモが沢山あって、子供にとっては夢の場所でした。正直、自宅から遠い店でしたが、友達の誰かがプラモを買いに行くときは、必ず一緒に行って、じっくりと棚を眺めるのが最高の一時でした。

 今回のOS模型店が広さといい、木製棚の高さや感じといい、プラモを手にとれないところも、その店にとても似ており、眺めていたら脳が勝手に記憶の断片のパズル組みを始めてしまい、一緒にプラモ店に行った友達から始まって、クラスメイトの顔、小学校の校庭の夕暮れ風景、読んでいた漫画の表紙やら飼っていたペットまで次々と映像が現れ、記憶のダムが崩壊状態に。

 この企画の発案者でもあるゴム動力舎の山田さんから御挨拶をいただいたのに「テンションが上がります」「すごいですね」程度しか言えず、自分の中では「そうじゃないだろう。感動しているんだから、ちゃんと伝えて、もっと感謝しろよ」「しっかりしろ!俺!」なのに言葉が続かず。たぶん、外から見たら展示物の前で立ちつくすダメなおっさんだったと思います。

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 自分の中では完全に忘れていた小学4年生の思い出の多くが蘇り、懐かしいやら、切ないやら、嬉しいやら。
素晴らしい展示で本当に良かったです。ぜひどこかでOS模型店を再展示して欲しいです。

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