GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2012年12月

前回、度肝を抜かれた高レベルのエッチングの一次試作品到着から、
二週間余が経ちました。

恥ずかしながら、私のミスで寸法間違いが一か所あったことと、
先方から金属素材の提案もあったので、
二次試作を作ってもらいました。

この台湾の業者、とにかく仕事熱心です。

鉄道模型の下請け製造しているだけあって、
エッチングに彩色やプレス加工もできるため、
次々と将来の技術提案してくれ、話を聞いているだけで、
こちらもワクワクしてきます。

結局、モノ作りがうまくいくか否かは、こういうところなんでしょうね。

材料のステンレスについても、真鍮並みに柔らかい素材と、
それよりは硬めながら、SUS304 2B より柔らかい、
二種類を比べることにしました。

その二次試作品が、本日、到着しました。

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相変わらずピカピカで、反射が激しく、とにかく写真が撮り辛いです。
まるで、ゴールデンマスクです(←同世代おっさんだけわかればOK)

前回の教訓から、デジカメのレンズに反射防止用のフィルターを付けて、
細部撮影をしました。エンブレムは、ここまで拡大しても破綻しません。

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皆さんが気にしていたMACH IIIエンブレムもこのとおり。

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素材は、やはり真鍮と同じ硬さがいいですね。加工の容易さが違います。

ラグにゃんさん、いよいよ出番ですよ~


GSX250Eを預けていた茨城のバイク店から電話がありました。

「修理が終わったので、これから届けに行くけど、今日の午後はいる?」

まあ、ある意味、クリスマス・プレゼントですか?

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サンタさんと違うのは、バイクが届けられた後、お財布から数人の諭吉さんがいなくなっていたこと…修理は完璧でセルボタンを軽く押しただけでエンジンが始動しました。DOHCツインは適度にやかましくて、いい音ですね。年内、あと一回くらい乗れるかな?


4年前まで市川市模型店を経営していましたが、
今の仕事に変わった後、その頃の取引先や知り合い、
御客さんなどからは、年を追う毎に、挨拶状の類は来なくなっています。

寂しいとかではなく、それが普通の付き合いだと思っていたのですが、
海外からは、この季節になると、
いまだにメリー・クリスマスのカードやメールが届きます。

当時、海外から直接、書籍や模型を仕入れており
買付や取材で、多いときは年に数回、海外に行っていたので、
その関係で知り合った人たちです。

メールに写真が添付されていたり、
近況が書かれていたりするので、懐かしい顔の変化や、
新しい家族が増えた様子、引っ越した先の新居などは、
思わず笑顔になります。

以前、チェコの友達が、どうだ、新しく車を買ったぞ~
というメッセージに添付されていた写真は、大戦中の米軍の装甲車でした。
キレイにレストアされていましたが、ヨーロッパの連中は、
こうこう事には半端なく、バイク如きでヒーヒー言っている自分が恥ずかしいです。

クリスマス休暇前の22日に仕事上のことで、一悶着やりあった香港人からは、
新しい家族との笑顔の写真と、「続きは休暇明けにやろう」、のメッセージが。
こういう写真を貼られると、あんまり強くは言えなくなりますね~(笑)
御得意の交渉の手口ですかね?

毎年、赤の広場の軍事パレードの写真を送ってくれるロシアの友人がいます。

彼の今年のメッセージが、なかなかイイので紹介しておきます。

「今年は決して、素晴らしい年ではなかった。
 きっと、あなたも同意してくれるだろう。

 いくつかの良い事があり、いくつかの良くない出来事もあった。

 私は、いつもと変わらぬ生活を続けられた。
 個々の事情とは無関係に時は過ぎて、
 今年も街がカラフルになる、この季節を迎えた。

 来年は、世界が暗闇から抜けだし、より明るくなることを望む。

 メリー・クリスマス」

ちなみに今年の写真は、11月7日ロシア革命記念日のT-60軽戦車。


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第二次大戦中の戦車がちゃんと走っていますね。これもある意味、レストア?

クリスマスと、どう関係あるかは、さておき、しばらく、モスクワにも行っていないな…


全てのジェット類を外し、キャブクリーナーを吹き付けて、
腐れガソリンをキレイにします。


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掃除が終わったら、各部の組み立てです。これは右キャブレター。

掃除が終わってキレイになったジェット類を再装着し、
Oリングやガスケットなどのゴム類をホンダ純正部品に交換します。

エアーカットバルブはゴム製で消耗品のはずなのに、
なぜか、ホンダ純正品では、画面の真ん中に見える、
ミレニアム・ファルコン号みたいな金属製の蓋と
スプリングとの三点セットでないと部品が出ないので、
社外品を使いました。CB750Fと同じ部品らしいです。


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左右キャブレターを連結して、同調ネジを分解前の位置に締めて完成です。
もちろん、完璧に左右同調させるには、バキュームゲージが必要になりますが、

「俺も(バキュームゲージを)持っていないけど、
 今まで、なんとかなっているよ~」

というホークIIオーナーの声を聞いたので、とりあえず、そのまま行きます。

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数カ月ぶりに車体に取り付けました。インシュレーターは新品を使いました。


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キャブがキレイになるとエンジンヘッドのアルミ錆が気になりますね。
こうして写真で見ると、エンジンハンガープレートも結構、錆ていますね…

こうして、人はレストア煉獄に堕ちて行くのですね


「ところでKH250は、最近、どうしているの?」

このところ、バイク関係の記事は、レストア中のCB400LCとセルモーター交換でバイク店に入院中のGSX250Eばかりで、KH250の話題がありませんが、元気に走っています。少し前にヘッドライトを入手時の凹レンズ・シビエから、ノーマルに戻しました。


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消費電力は減ったみたいで、以前は前照灯を点けながら夜間走行すると、約30分でエンジンが止まりましたが、今は、もっと長く走れるようになりました。45分までは確認したので、どこまで走れるか、いずれ挑戦してみます。ただ、寒くなったので、そろそろ冬眠の時期かもしれません。


どうしても国内で新しいエッチング業者が見つからないので、
仕事仲間のH3さん(台北在住)にSUS304 2B 0.25tを使って、
模型用エッチングを作ってくれる業者が台湾にないか問い合わせてみました。

模型用エッチングを生産している会社は、
台湾に三社あり、どれも知っているそうです。

その中で規模は小さいけど、技術力と仕事の真面目さは、
一番という会社を紹介してくれました。

もともとはギフト商品や観光土産の金属部品を作っていたが、
鉄道模型の下請け生産を始めてから、
その高い技術力に海外から、
沢山の注文が来ている会社ということでした。

先方から、バイク模型のエッチングはやったことがないからと、
サンプルを求められ、すぐに送ったところ、
ぜひ、挑戦してみたいと返事がありました。

「なんで、SUS304 2B 0.25tを使うのですか?
貴方が素材に求めているのは、適度な硬さですか?
それとも曲げ加工のし易さですか?」 と質問が。

後者の曲げ易さを求めてだと返事をすると、

「やはり、そうですか。それなら、もっと適した素材があります。
模型用素材としてSUS304 2B を使うのは、10年前の技術トレンドだと思います。
今は真鍮並みに加工がし易くて、プレス加工もでき、しかも錆ない素材がありますよ。
もし、ちょっとは適度な硬さが必要であれば……」

ああ、私が欲しかったパートナーは、これなんですよ…

できることなら、国内業者でH2のエッチングを頼みたいと思っていました。
でも、この三週間で、それは無理な望みだと理解しました。

A社「もう需要の見込めない素材は発注できないんで、無理です」

B社「申し訳ないけど、今さら模型に挑戦する気はありません」 

C社「数は幾つです?えっ、300?、たった300?  
   ●●さんの御紹介でも、ウチでは無理ですね」

D社「SUS304 2B 0.25t?ダメ、ダメ、そんな素材扱いたくないよ。」etc 


こんな台詞ばかり聞いた後なので、台湾業者の短いながら、
適確なやり取りは、心に染みましたね。

そして、届けられたサンプルは、予想を大幅に上回る品質でした。

トラブルはありましたが、結果オーライでしょう。

これも模型の神様の思召しかもしれません。

模型の神様に感謝です。



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