GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2011年06月

 仕事仲間の台湾人であるH3さんが興味深い話を聞かせてくれました。今から40年前の台湾で、なんとカワサキ・トリプルのH1Aが生産されていたそうです。もちろん、今流行りの中華製モンゴリみたいなコピーではありません。

 H1Aの前身であるKA1の北米や日本国内での人気を知った台湾のカワサキ代理店は最速スポーツバイクとして自国の富裕層にもニーズがあるのでは?と考えましたが当時の台湾では大型バイクの輸入は厳しく規制されていました。

 なんとかH1シリーズを国内販売したい代理店は日本から部品状態で輸入し現地で組み立てて、台湾製とすることで、この輸入障壁を乗り越えることにします。新興国の自動車生産などでも、しばしば採用される、このノックダウン方式は台湾の労働力を使うため販売価格を抑えられるメリットもありました。話題の大排気量スポーツバイクが手頃な価格で買えるとあって、当然、代理店はヒットを期待しました。しかし、台湾製H1Aは散々な結果となります。

 当時の台湾で人気のあったカワサキ製バイクは低速トルクがあって荷物が沢山運べると評判だったビジネスバイクの125B1でした。まだまだバイクは仕事の道具であって、レジャーやスポーツ用など趣味で買う人は極少数でした。

 こんな状況だったので、各地のバイク販売店は代理店の目論みを無視して、あろうことか125B1を買ってくれた工場や農家に、よりパワーのあるビジネスバイクとして売り込みました。

「500㏄だから1台で125B1の4台分も働いてくれるよ」

 H1Aは高速スプリンターであってキャリアーを付けての荷物運搬やリアカーの牽引などの力仕事には不向きです。販売店のセールストークに乗せられH1Aを買ったユーザーたちから、すぐに沢山のクレームが代理店に届きました。

「燃費が悪い」「排気煙が多すぎる」「トルクがない」「125B1の4台分には、ほど遠い」「車両価格や排気量の割には仕事の効率が悪過ぎる」 

 さらに不幸なことに、ビジネスバイクとして売り込まれたので本来の目標であった富裕層には見向きもされず「役立たず」「大飯食らい」「音ばかりで働かない」と烙印を押されてしまい、結局、ノックダウン生産は僅か100台で終了して最後は特価販売となり、使い潰されて僅か10年間で台湾国内から全車が姿を消したそうです。

 興味深いのは、カワサキからは無打刻のフレームが供給され台湾独自のフレーム番号を打刻しました。これは台湾で生産された安価なH1Aの日本や北米への輸出防止策だったと言われていますが台湾側からの要求だったとの説もあり、真偽は不明です。

 現在も残っている台湾製H1Aは1台のみ。台北在住のイギリス人バイクコレクターがレストアして実動状態で所有しているそうです。写真は、たまたま部品で残った台湾製H1Aのタンクです。

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 アメリカのリンカーン工場で組み立てられたH2C、そして今回の台湾製H1Aなど海外生産のカワサキ・トリプルの記事はバイク雑誌や書籍でも読んだことはありません。台湾製H1Aは、まだまだ謎が多いそうなので、今後の資料発掘が期待されます。

看板アイテムに近いので、「微妙かな?」コーナーかな?とも思いましたが、
一応、こちらで紹介します。

いつもとは違うスーパーに行く途中に見つけました。

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ブルドックのイラストと共に「猛犬に注意」と書かれたプレートは見ますが、
ネコって…… そんな注意するほど凶暴なんですか?お宅のネコちゃん?

ひょっとして、ベンガルヤマネコとか?
(たぶん、ワシントン条約とかで飼えない)

格闘家ボブ・サップも飼っている野性味溢れるペット、サーバルキャットとか?

イリオモテヤマネコとかツシマヤマネコとか?
(天然記念物だから飼ったら、きっと手が後に回る)、


と妄想したのですが、下の細かい字を読むと、
ドアを開け放しておくと、飼い猫が逃げてしまうので、
気を付けてください、というお願いでした。
ちょっと安心しました。

 5月に香港出張に行ったとき、先方の会社に、ツァンさんという、美味しい物が大好きなスタッフがおりまして。「酔蝦(酔っぱらい海老)を食べたことがない」と言ったら、

「このところ、俺も喰ってないから行こうか」と海鮮レストランに連れて行ってくれました。お店は、尖沙咀(チムサーチョイ)の「龍門」海鮮料理街として有名な鯉魚門(レイ・ユー・ムン)に本店があるそうです。

 店の前に生簀を置いた海鮮料理店が軒を連ねる鯉魚門ですが、かなり前から「観光ズレして、サービスが悪い」「値段が高い」という評判が立ち、わざわざ来てくれる地元客の数が減ったので繁華街である尖沙咀に支店を出したそうです。

 渡辺直美みたいな店員さんが生きの良い海老を数匹、ガラスの容器に入れてテーブルまで持ってきて、鮮度と大きさを見ろや、てな事を言っております。天麩羅にしたら、おいしそうな新鮮で良いサイズです。

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 一同が納得したと確認するや、ドバドバという感じで紹興酒を注ぎ蓋をします。最初は、海老が暴れまくりますが、やがてアルコールが回り静かになります。

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お湯が沸いた鍋に一匹づつ放り込まれ、見事な茹で海老に。

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 醤油ベースに香草をまぶしたタレを付けて食べるのですが、身に紹興酒の香りが滲みて、肉もお酒に浸ったせいか、茹で海老特有のプリプリがなく、軟らかい食感でした。御馳走してもらって、何ですが、正直、感動するほど、美味しいわけではなく「へぇ~」という味わい。

 やはり、日本人にとって、海老はプリプリしてて欲しいです。あの海老なら、天麩羅か鬼殻焼きで食べたかったな…

 海老の茹上がりを待つ間に出された、塩味の海鮮スープがカップ麺のシーフードヌードルのスープを本物で作ったという感じで、むしろ、こちらの方に心動かされました。

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ミッション部の細かな修正が終わったので、部品を並べてみました。
エアークリーナーのパーツとか、大昔の仕事みたいです(笑)
シリンダーヘッドは一体化しました。

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シフトペダル、ブレーキペダル、キックアームはメタル部品で、
その他は、すべてレジン部品です。

ストローク車の特徴である薄いエンジンフィンは、
金属板でしか再現できないので、エッチング部品の積層です。

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シフトペダルとリンケージ機構は、一次原型の仕上がりが今一つなので、
作り直すつもりです。

バイク模型の開発が難しいと言われるのは、
おそらく異なる二つの才能が必要だからです。

エンジンやフレームには、
大砲の模型を作るように、
部品の集合体としてエンジンを理解し、
それを的確に模型部品変換できる思考、
パイプフレームなどの造形をまとめる力、
さらに頭の中の部品を形にできる緻密で正確な工作の才能。

一方で、タンクやシート、サイドカバーの造形には、
それとは相反する曲面を模型として再現する能力が必要です。
飛行機や自動車の木型職人に、この能力が優れた方が多いです。

この両方を兼ね備えた人は、模型業界でもそう多くなく、
国内で3~4人、海外を入れても10名ほどしか顔が思い浮かばず、
その中の何人かは、すでに引退しています。

一次原型を担当してくれたH3さんは、もともと大砲のプラモデル設計が得意で、
これまで香港や台湾の模型メーカーの仕事をやっています。
彼の設計した対戦車砲や野砲、対空砲の評価は高いです。

タンクやサイドカバー、シートなどは修正の多かった一次原型ですが、
さすが大砲のデザイナーだけあって、エンジンに関しては形状的な問題点は皆無でした。

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そのまま使えるレベルでしたが、他の部品とのバランスをとるべく、
多少、細部の追加工作と、組み立てのための部分改修をすることにしました。

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つい最近、KH250のエンジンの開け閉めをし、
構造を理解したばかりなので、
細部追加工作には、つい力が入ります(笑)


(続く)

昨日は父の日でしたが、全国のお父さん、いい事ありましたか?

今年は娘二人が、お金を出し合って、芳香器をプレゼントしてくれました。

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もともと仕事柄、塗装、ポリパテ、無発砲ウレタンだ、と悪臭の元は尽きないうえ、
最近はKH250のレストアで、キャブレタークリーナーとか、パーツクリーナーが加わり、
さらに、この前はエンジンを始動させたら、工房中、排気煙だらけになって、
家族に大不評だったし… 非常に適切なプレゼントです。


晩御飯は、奥さんが、私の好物の焼き鯖寿司と旬の煮穴子寿司を買って来てくれました。

やはり、家族は良いものです。さあ、明日もがんばろう!

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