GUMKA工房記

模型の企画・設計と資料同人誌の販売をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

2010年12月

晩御飯も終わり、部屋に戻り、どうでもいい話しをして寝る前、
身体を温めようと、私は一人で風呂へ。

時間は夜の11時過ぎ。田舎の民宿の静かな空気の中、ゆっくり湯船に浸かっていると、
脱衣所の方から、シャカ、シャカ、という何やら奇妙な音が。
てっきり同行のY氏がふざけているのかと思い、

「いい歳のオヤジがナニやってんの?中学生じゃあるまいし」

と声を掛けると、ぴたりと音は止みましたが、人の気配がありません。

恐る恐る、風呂の戸を開けてみたら、ピーちゃんが、脱衣籠で爪とぎ(?)をしていました。

眼と眼が合ったら、すぐに逃げて行きました。



さて、千貫山荘には、あと二匹の猫がおりまして。
どっちも名前を忘れましたが、まずはシャム猫から。

晩御飯時、ピーちゃんの後から、部屋にやって来て、
ずーと私の膝の上に丸まっていました。
暖かかったけど、身動きはできず。

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翌朝、寝泊まりした部屋にも来ました。
女将の話だと、結構、年らしいです。

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もう一匹は白猫で、出発時にお見送りをしてくれる賢さ。

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ちなみに、背景の障子戸の穴こそが、ピーちゃんの突入口です。(本当!)
写真を良く見ると、一番下の列だけ障子紙を張替えてあるので、
たぶん、障子破り突入が日常化しているのでしょう。

猫好きで、部屋が古くても気にならないという方は、ぜひ宿泊してみてください。


 昔から軍隊が使う野戦炊事車には興味がありました。戦車や戦闘機、自動車同様、お国柄が出るうえ、性能が即勝敗に結びつく戦闘兵器ではないので、更新されず長い期間使われます。1982年のフォークランド紛争時には、ロンドン市内の帝国戦争博物館に展示されていた第一次大戦中の野戦炊事車が
急遽駆り出され、実戦場でちゃんと役目を果たしたという信じられないエピソードもあります。

 以前、取材でベラルーシやポーランドの博物館に寄ったとき、たまたま、大戦中のソ連の野戦炊事車が展示されており、その資料を参考に数年前、スクラッチしたことがあります。

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 それと同じ車種が今年、ウクライナの模型メーカーであるミニアートからプラモデルとして発売されました。南流山では絶対に入手できないので、元の職場から通販購入しました。

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 フィギュアもセットされた充実内容です。戦車や装甲車と違い、アイテム的には興味がない人が多いでしょうが、なかなかイイ出来で、ファンとしては、とっても嬉しいです。

 よく見たら、煙突の高さが低く、左右各フェンダー上には、食料運搬コンテナが1個づつしか装備できないので、私が自作したものとは違うタイプのようです。たぶん、メーカーでバリエーションとして企画している……わけないな。

 ちなみに頻繁にロシアに行ってた頃、これの後継車種の実物を買わないか、と持ちかけられたことがあります。釜が前後に二個ある戦後のKP-2-48で、当時のレートで45~50万円でした。置き場所がないので諦めましたが、フリマイベント会場とかに持って行って、ボルシチ屋台をやれば、結構、ウケたと思うんで買っておけばよかったと後悔しています。

右ハンドルスイッチ・ボックスは、
ブレーキフルード漏れのせいで、
塗装が浮いていたので、
左と同じくマフラー用スプレーで焼付け塗装をしました。


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左スイッチボックスのときは初めてだったので、
上手くいくのか、おっかなびっくりでしたが、
二度目は要領がわかったので、スムーズに作業が進みます。

文字に色を載せて、軽く再焼付けすれば完成です。

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左スイッチボックスの塗装は御覧のようにお疲れめ。
これも旧車の味ですが、どうせ乗るならキレイにしたいのが人の情。

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ただ、こういう小物塗装、意外と困りもの。
一般的なラッカースプレーだと塗装してしばらくはいいけど、
簡単に傷がついたり、ポロポロと剥がれたり。

粉体塗装ならば塗膜強度も問題なく、
傷にも結構強いですが、素人の手には負えず、
プロに頼まねばなりません。

素人が扱える塗料で、塗膜が一番強いのがウレタン塗装です。
化学反応で塗料を硬化させる特性上、扱いが大変でしたが、
数年前から「エアーウレタン」の商品名で缶スプレーが発売され、
以前よりは身近になりました。

ただ使用直前に缶を打ち付けて、缶内の硬化剤カプセルを割って、
塗料と混ぜる仕組みのため、その日のうちに使い切らねばならず、
小物塗装では不経済。


元バイク整備士だったIさんが、ラッカー以上、
ウレタン未満の塗装方法を教えてくれました。
使うのは、バイクや自動車のマフラー用スプレー。
耐熱塗料なので、自動的に焼付塗装になります。
なにせマフラー用塗料なので、小石跳ね程度には耐えねばならず、
ラッカーより密着度が高く、粘りがあるそうです。

バイク屋の店員が、簡単な焼付塗装をやってありますよ~とか言いながら、
 目を逸らしたり小声だったら、まず、コレだな」

だそうです。

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まずは、古い塗装を全て剥離します。剥離剤やサンドブラストすれば、すぐですが、
私はスポンジヤスリで、シコシコ削りました。

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普通の缶スプレーの要領で、吹き付けたら、24時間放置します。
24時間経つと、一見、乾燥したように見えますが、実は不十分で、
この後、焼付ます。

焼付は、ホームセンターで買った餅焼き用網(198円でした)を石油ストーブの上に。
そこに置いて30分以上放置します。最初は塗膜が溶けるように軟化し、
変な匂いがするので、一瞬、あ、失敗したか?!とドキドキしますが、
やがて完全硬化します。

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あとは文字に、色を入れて、軽く再焼付します。
入れた色と下地の黒の密着がよくなるそうです。

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欠点は、最後に焼付なければならないので、金属以外には使えないこと。
あとマフラー用なので、色数が少ないこと。
どちらも仕方ないですけど…

余談ですが、バイクや車のタッチアップや外装の塗装に、
プラモデル用のスプレーを使う方がいますが、あまりお勧めしません。

プラモ用塗料はキメが細かく、仕上がりはキレイですが、
家庭用のラッカー塗料などと比べると塗膜は強くありません。
メーターの文字や針の再塗装など、触らない箇所ならいいですが、
外装やフレームに使うと傷が付きやすいし、爪を立てると容易に剥がれますよ。

かつて模型店の店主だった頃、「ホンダ・フィットのシルバー、これ近いかな?」
とかいう人たち、結構、多かったんですよ。

川魚料理の美味しい民宿千貫山荘には三匹の猫が放し飼いで、無料の猫カフェ状態。
中でも一番若くて、元気がいいのがピーちゃんこと、ロシアンブルーのピー助君。

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「晩御飯の準備ができましたよ~」と呼ばれ、食事部屋に行き、料理を堪能しつつ、
女将と世間話をしていたら、障子戸の外から猫の鳴き声が。

穏やかだった女将が急に慌てだし、「ピーちゃん、待ってて、今開けるから。入っちゃダメ~」
と言い終わる前に、ジャンプして障子紙を破って、部屋に入ってきました。
女将は絶叫、私とY氏は大笑い。ウルトラマンエースで空を割って現れる超獣バキシムを思い出しました。

部屋に入るや、床の間の床柱で爪とぎを始め、
「ピー助!いつも言っているでしょう!爪とぎしちゃダメ!」
思いっきり、頭をひっぱたかれ、部屋から追い出されるや、自分で開けた障子の破れから、再突入。
私らは大喜び。女将はピーちゃん、どつきまくり。
まあまあ、女将、二人とも、猫は好きだから、かまわないよ、と伝え、
以降、ピーちゃん、部屋で遊びまくり。

画面右端のカメムシを観察したり、

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Y氏に遊ばれたり、

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なかなか楽しい夕食でした。

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部屋に戻ると、戸の外からピーちゃんの声が。
中に入れてやると、邪魔がないからか、いきなり柱でバリバリ爪とぎを。
この民宿の柱や壁が異様に傷だらけだった原因が判明。

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いろんな意味で楽しい宿でした。


 個人的には川魚料理が大好きですが、残念ながら世間的には苦手だ、積極的には食べたくないという人が多数派です。背景には、ちゃんとした料理を出す店の少なさがあるのかもしれません。渓流や水がきれいな湖で獲れた魚は別にして、美味しい川魚を味わうには、泥抜きが欠かせません。

 作業自体は難しくなく、餌断ちして、きれいな流水の生簀で飼うだけです。住んでいた環境や季節にもよりますが、すぐ泥臭さが抜けるときもあれば、10日以上かかることもあります。ただ店にしてみると、仕入れた魚がすぐに現金化できないので、敢えてやらない、もしくは適当に済ませてしまいがち。そんな店で料理を食べれば川魚なんて泥臭くて、美味しくないと思って当然です。

 料理店ガイドブックに必ず掲載されている都内の某川魚料亭など、犯罪と言っていいほど臭くて食えたもんではありません。親戚の法事で一口食べて海原雄山になり「ええい、主を呼べ!」が喉まで出かかりました。後にも先にも料理を食べて、あれほど腹が立ったことはありません。

 生前、祖父が贔屓にしていた川魚料理店は餌断ちした後、新鮮な剥きエビを与え、身の状態と香りを良くしていたそうですが、さすがに、そこまでやってくれる店はもうありません。そんな私が久々に美味しいと思ったのが、裏磐梯の秋元湖畔にある民宿「千貫山荘」の料理です。

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 民宿の他に貸しコテージも経営していて、9月末にみんなで裏磐梯に行ったときはそっちに泊まりました。素泊まりもOKですが食事付きにすると、女将が食材一式を持って来て、その場で調理して出来立てを御馳走してくれるシステムで、その美味しさにびっくり!

 そのときのメニューが、コクチバスの刺身、尺イワナの味噌田楽、イワナの燻製、ニゴイの飛竜煮、ワカサギとバスの天麩羅、会津の郷土料理(ざくざく煮)、松茸の土瓶蒸し、キノコとサトイモ鍋、天然ナメ茸の味噌汁(絶品!)旦那さんが秋元湖で獲った魚と山菜、キノコなどを駆使したまさに地産地消!

 そんなわけで、10月末日、Y氏とウチダザリガニ・リベンジするとき、コテージではなく民宿に泊まりました。Y氏も四万十川のある高知県出身なんで、私同様、川魚には一家言あります。季節によってメニューは変わりますが、その日は、ジュンサイの酢の物、コクチバスの刺身、コクチバスの燻製、イワナの塩焼き、舞茸とバスの天麩羅、会津の郷土料理(ざくざく煮)、松茸の土瓶蒸し、キノコとサトイモ鍋、天然ナメ茸の味噌汁、カスミシメジの炊き込み御飯。

 秋元湖のコクチバスは水がきれいなので、刺身でも全く臭みがなく、白身の海魚を食べているようです。何も言われなければ、ホウボウの刺身かと思います。それをスモークすると、味が全然変わり、同じ魚とは思えません。

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 イワナの塩焼きは天然物だけあって皮が美味しい。高知県ではイワナがいないのでY氏も喜んでおりました。

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 天麩羅は、舞茸とコクチバス。コクチバスは揚げるとホクホクで、また別の味わいが。

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 舞茸は、スーパーで売られているような菌糸瓶で養殖した工場産ではなく、原木栽培の路地物。このボリュームです。

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 土瓶蒸しの松茸は福島の天然物。猛暑で不作と当初は思われたのですが、実は発生が遅いだけで、我々が行った10月下旬には大豊作で、「今週は20kgも獲れた」と女将が苦笑していました。

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 カスミシメジは地元でも、なかなか食べられない珍しいキノコで、家族だけで食べるつもりだったそうですが、相方が遠路、高知から来たとあって御馳走してもらえました。

…さて、料理絶品のこの民宿、ぜひ行きたいと思われた方もいるでしょう。ただ、一つ注意していただきたいのは、建物が35年前に建てられ、もう少しで横溝正史の映画ロケに使えそうな古さであること。

 さらに女将の長男がホンダ・モトコンポのエンスーらしく、そこここにバイク部品やフレームが無造作に置かれています。バイク好きな私は、ほ~なかなか、やるな~と感心でしたが、普通の人から見たら、ガラクタだらけかな?ちなみに客用駐車場には、大きなボール盤が鎮座しております(本当)最近の旅館ばりのキレイな民宿を期待して行くと違うかと。

 あと、三匹の飼い猫が傍若無人に民宿内を暴れ回っているんで、無料の猫カフェ状態ですが、猫嫌いな人には厳しいかも。Y氏曰く「料理の上手な親戚の叔母ちゃんの田舎の家に行って、帰るの面倒だから、そのまま泊まった感覚」そんな感じです。私としては、泊まりもできる川魚料理店かな?

来年春の山菜の季節には、また二人で再訪するつもりです。

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