今年の4月の出来事ですが、電車に乗ったとき向かい席にシニア女性とそのお孫さんの小学校2~3年生の女児が座っておりまして。その女性の話す標準語が関西弁アクセント混じりで、ときどき語尾や問いかけが関西弁になるのですが、実は亡き祖父が同じ話し方だったので、数十年ぶりに聞く懐かしさでした。
もともと大阪堺市に住んでいた祖父は1936年に勤務先の橋梁会社が東京支店を開設したため、同僚たちと共に引っ越してきて、それ以降はずっと関東暮らしでした。
言葉に関して同僚たちの対応は様々だったそうで、営業担当の人たちは仕事柄、ほぼ全員が標準語をマスターした一方で、設計や技術系など社内に籠る人は関西弁のままが圧倒的で、祖父はその中間で標準語だけどアクセントや語尾が怪しく、話に興じると関西弁に戻るので、子供の頃は周囲の大人とは言葉が違うので不思議でした。
ちなみに祖母は、毎日の買い物や近所付き合いもあるためかキチンとした標準語を話し、生まれは堺市だけど物心ついたときには関東暮らしだった父は全く関西弁を話しません。
女性は短い革ジャンにアニマル柄ロングスカート(関東ではレアなアイテムです)、編上ブーツというファッションで黒髪混じりの長い白髪をポニーテールにしている一方、女児は全く普通の小学生で、そのギャップも面白かったのですが、聞くとはなしに聞こえる会話によると女児のお母さん、つまり女性の娘さんの誕生日プレゼントを買いに行く途中でした。それまで通う学校の様子や友達について女児に尋ねていた女性が突然、話題を変え、
「なあ●●●ちゃん、土屋アンナ、知ってるか?」と。
お孫さんが「知らない」と返すと女性は、自分が若い頃は土屋アンナに似た美人だったので、沢山の男性から求婚されたと話し、
「●●●ちゃんのお母さんも御婆ちゃんの若い頃とソックリで、しかもバッチリ土屋アンナがリアルタイムな時代に学生だったんで、そりゃーもう信じられんほどモテモテやったよ(だったよ、にならない)」
この後、どんだけモテていたかの驚愕のエピソードを語るのですが、これがなかなか凄く、女児のお母さん、電車内で勝手に過去を暴かれ大迷惑だったと思います。
「●●●ちゃんもお母さんに似とる(似てる、にならない)から、大学生やOLになったら(みんなが奢ってくれるので)、財布持たんでも街で御飯食べ放題、酒飲み放題できるで」(こんな直情的表現は関東ではあまり聞かないし、そもそも土屋アンナが何たるかを説明してないまま小学生相手に何を言うのやら)
女性はスレンダーな体型で目が大きく、マスク越しでもきれいな鼻筋と細面がわかり、土屋アンナが60代になったら、こうなるんだなと納得してしまう容姿でした。
お孫さんが「御婆ちゃん、声が大きいよ(お孫さんは極めてマトモ)」と注意したら「御免、御免、御婆ちゃん、●●●ちゃんとお出掛けできるが嬉しくて、興奮しているのよ(これはキレイな標準語)」
お孫さんが「御婆ちゃん、声が大きいよ(お孫さんは極めてマトモ)」と注意したら「御免、御免、御婆ちゃん、●●●ちゃんとお出掛けできるが嬉しくて、興奮しているのよ(これはキレイな標準語)」
となって、一気に会話が大人しくなりましたが、とにかく楽しく、そして懐かしい数十分間でした。
コメント
コメント一覧 (6)
高田さんから 堺の地名が出るとは、驚きました。僕も現在は兵庫に住んでますが実家は堺市です。 堺の場合、大阪弁(北大阪)と泉州弁(南大阪)と河内弁(東大阪)が混在する関西弁になりますね。泉州弁は敬語が無いのでフレンドリーと乱暴が紙一重な言葉使いになりますので、昔は山手線の車内とかで友人と喋ってるとジロジロと見られたりしましたが、今はテレビでもyoutubeでも関西弁は氾濫してますから誰も気にしないでしょうけど・・
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祖父の父(曾祖父)は和歌山県出身で京都で公務員をやっており、そこで堺市出身の曾祖母と結婚して祖父が生まれました。曾祖父は若くして亡くなったため、曾祖母が幼い祖父を連れて実家に戻り、以来、東京に転勤になるまで堺市暮らしでした。
我々は区別ができませんが関西弁でも色々と違いがあるのですね。そういえば、模型店時代、泉佐野市にお住まいのお客さんが、たまに電話をくれましたが数十年来の親友みたいな話し方で、いつも明るい人だなと思っていましたが、あれはひょっとして泉州弁だったのかもしれませんね。
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私の母親が富山県砺波市出身で会話の語尾が「ちゃ」と「やし」になるのですが、泉佐野市にお住まいのお客さんも同じだったので「ひょっとして富山県の御出身かな?」と思いつつ、母親の富山弁とは違うし、話題が変わるときの「ほてから」は聞いたことがなかったので、祖父の関西弁混じりの標準語と同じく富山弁と関西弁が混ざった言い回しなのか?などと勝手に想像していました。今回、泉州弁の存在初めて知りましたが、それですかね?方言はおもしろいです。また新たな知識が増えました。
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僕の母親は淡路島の出身なんですが、会話の語尾に だぁ~ とか でゕ~ が付きます。(淡路弁) 僕自身は仕事の都合で堺市から現在の兵庫県小野市に引っ越したんですが、こちらは播州弁(神戸から西方 岡山まで)で当初は ちょっと何言ってるのか分からない 事が多々ありました。
グムカ・ミニチュア
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「ほてから」同様、今の若い人が方言を使わないのは各地で聞きます。次女の旦那さんが青森県陸奥出身ですが、祖母との日常会話で聞き取れない単語があると言っていましたし、模型店時代、千葉県外房のお客さんが初来店されたときは、怒られているみたいだし、1/4くらい意味がわからず慌てましたが、後から方言に漁師言葉が上書きされているとわかりました。私が店を辞める2008年頃には、昔に比べればソフトになっていましたが「娘が里帰りする都度、そんな乱暴な言葉を孫に聞かせないでと怒られる」としょんぼりしていました。方言を取り巻く環境も徐々に変わっているみたいです。
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