事務所用に電子レンジを購入しました。基本的に食事は自宅で食べるし、お湯はガスコンロや電気ポットで沸かすので、これまでは必要性を感じなかったのですが、コロナ禍でテイクアウトする機会が増えて、あれば便利だなと感じてまして。

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 たまたま、温めと解凍機能しかない単純な機種の2019年式が格安だったので買いました。販売店は「年式遅れの東芝製」をPRしていましたが、御存知のように東芝の家電部門は「本丸が経営難なんじゃ。儲からん白物家電はブランドごと海外に売り飛ばしじゃ!」で2016年に中国家電大手企業のミディアグループ(美的集団)に売却されたため、価格の安さも含めて、そういう製品です。

 かつて某大手家電メーカーで基盤設計をしていたなんでも屋のチュウさん

「東芝は防衛庁(当時)にレーダーを納品していたんで、(その原理を応用している)初期の電子レンジは他社より優れていた」「分解して心臓部と回路を見たときは、こんな部品を(惜しげもなく)東芝は家電に使うのかと感動すらした」

「ただ、昔から東芝とシャープは技術屋の声が大き過ぎるから、使い勝手とデザインが悪くて説明書も文字が多く不親切でわかり辛い。使う側の視線が根本的に欠けてんの。当然、後発はそこを狙ってくる」

「大ヒットした後発他社の某製品は、ボタン位置とか使い易さが良く考えられてて、外装も高級感あるデザインで色使いも良くて、家電としての完成度が高かった」「説明書も使用者である主婦にわかり易いようにイラストを多用しており、レイアウトも考えられていた」

「でもね、たとえユーザーに優しくなくても、東芝の電子レンジは機能的には優れていたんだよ」

と熱く語っていましたが、そのなれの果てがこの格安電子レンジですから情けない。あと、当時、チュウさんが技術屋の発言力が大きいと指摘していた東芝の家電部門とシャープが両方とも国は違えど海外企業に売却されたのは興味深いです。

 東芝ブランドのミディアグループ製格安電子レンジ、耐久性に一抹の不安はあれど、これからは牛乳も簡単に温められるから、ロイヤル・ミルクティを飲もうと思えば、いつでも事務所で飲めるってことです(←たぶん、面倒くさがってやらない)



 電子レンジネタでもう一つ。1970年代末~80年代初頭、まだ出始めで価格が、当時に物価で約20万円もしていた某理系大学の方から聞いた話です。
 研究室に電子レンジ一台があれば、実験で泊まりになっても、いつでも温かい食事が食べられるんだよなと考え、丁度、彼の研究室は微生物や細菌を調べていたので、ものは試しと学校に「電子式土壌滅菌装置」として購入申請を出しました。

 申請書には担当教授のハンコが必要だったので、書類を見せると「この装置、なに?」と怪訝そうに尋ねられましたが、マイクロ波を照射して土中の細菌や微生物を滅菌する画期的な装置で、副次効果として冷めた弁当が温められ、冷凍食品を解凍できますと説明したら全て察し笑顔で押印してくれ、無事に予算がおりて、押印した教授も隣近所の研究室も重宝し、めでたしめでたしだったそう。さらに後日談で彼の卒業後も20年以上、その電子レンジは稼働していたとのこと。昔の国産家電は本当に丈夫です。