GUMKA工房記

模型の企画・設計とロシアのレッドアイアンモデルズの代理店をやっている「GUMKAミニチュア」の備忘録を兼ねたブログです。雨が降ると電車が止まるJR武蔵野線の新松戸と南流山駅の中間辺りに事務所はあります。近所に素材や塗料が揃う模型店がありません。最近、昔からやっている本屋が閉店しました。

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 今から25年ほど前、Aさんという模型上手な人がおりまして。主に車やバイクを作っていましたが、あるとき、レベルの1/12マッハIII(500SS)をマッハIV(750SS)へ改造しました。

 タンクとシートはバルサから削り出してサーフェサーで目止めし、テールカウルやサイドカバーは、アオシマの1/12バイクの部品から改造。見事なゴールドレインボー塗装で完成させたものの、その後、ポリパテやエポパテなどの造型用の新素材が出回り始めると、「やっぱりタンクとシートの形状が納得いかない」と、数回、手直して、徐々に完成度を高めていました。

「いいか、マッハのタンクには魔物が住んでいる。一見、単純そうな形に見えるが、どうしてもタンク下部と前部のラインがつながらない。無理につなげると、正面からのボリュームがおかしくなり、タンク上部のラインとのバランスも崩れる」

 この台詞はAさんが酔っぱらうと、相手がモデラーであろうが、職場の上司であろうが、取引先のエライさんであろうが、飲みに行った先のキャバレーのホステスであろうが、自分の飼い猫であろうが、必ず聞かせる伝説のボヤキです。大半の人間には(猫にも)理解不能だったでしょうが、今なら言えます。「オレ、それわかりますよ」実物取材したにもかかわらず、私も、その罠にはまりかけました。

 マッハに限らず、三次曲面の塊であるバイクのタンクは、どうしても寸法や写真だけでは追えない微妙な稜線があります。750ssの場合、肝の部分は安藤先輩のボヤキどおり、下部の前の部分でした。実物を手でさわって、ラインが変わる部分を見つけられました。やはり奧が深いですよ、タンク造型。

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「古いバイクのプラモデル?、売れないですよ」「旧車はマニアしか買わないね」日本の模型メーカーに、70~80年代の旧車や名車のキット化をリクエストすると、大概、こう返事されます。

 現在、バイクのプラモデルは、タミヤが1/12でレーサーをコンスタントにリリースし、アオシマが、ぽつぽつと市販車を出している程度です。プラモデルの新製品開発には高額な金型投資が必要ですが、
旧車や往年の名車では、それの回収が望めない現状らしいです。

 でも私はモデラーとして、1/12でカワサキ750ss(H2)が欲しいんです。アオシマのZ1/Z2やグンゼ産業(現GSIクレオス)の500SSの隣に置きたいわけですよ。いや、750ssだけではありません。他のカワサキ・2サイクル・トリプル系列である250/350ssやKH250/400、今はメーカー自体がなくなってしまったV型エンジン搭載の丸正のライラックLS-38、ロータリーエンジンを搭載し、70年代の少年たちに夢をみせてくれたスズキRE-5などなど欲しいバイクだらけです。

 かくして自腹で開発することにしました。もちろんプラモデルにすると金型代だけで、大赤字・大損は明らかですから、総開発費が抑えられ、生産個数も調整可能な複合素材キットでの製品化になります。

 元模型店を経営していたので、それとて、さほど需要がないのは充分に承知しています。ただ、バカな小僧だった頃からの夢である昭和のオートバイのキット化をしたいのです。

 第一弾となる750ssは、2年前に一次試作原型が完成していましたが、日々の仕事が忙しく、タンクやシート形状を煮詰めや細部の追加工作などがの途中で止まっていました。事情があって、本業だった模型店の経営権を人に譲渡したので、ようやく本腰を入れて作業ができそうです。

 御覧のとおり、試作原型はレジン製ですが、製品版では70%以上の部品がホワイト・メタルになります。スポーク(試作品ではプラモ部品を流用)やチェーン、エンブレム、エンジン冷却フィンなどにはエッチングパーツです(エッチングも、まだ試作の段階です)。なんとか、がんばって製品にしたいと思いますので、気長にお付き合いいただければ、嬉しく思います。

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